「人材業界で働きたいけれど、RPOと採用コンサルティング、どちらが自分に合っているのだろう?」
このような悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。確かに、どちらも「採用」に関わる仕事ですが、実際の業務内容やキャリアパス、必要なスキルセットは大きく異なります。
この記事では、RPO(採用代行)と採用コンサルティング、それぞれの特徴や違いを、実際の仕事内容からキャリアパス、年収モデルまで詳しく解説します。これから転職を考えている方の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
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目次
RPO(採用代行)とは
RPOは企業の採用業務を代行する専門職です。クライアント企業の採用部門と一体となって活動し、採用成果の最大化を目指します。本章では以下の内容をご説明します。
- 基本的な定義と特徴
- 具体的な業務内容
- 収入モデルとキャリアパス
- ビジネスモデルと市場動向
基本的な定義と特徴
RPO(Recruitment Process Outsourcing)とは、企業の採用業務の一部または全部を外部委託するサービスを提供する仕事です。採用実務のプロフェッショナルとして、クライアント企業の採用部門の一員として機能することが特徴です。近年では、人材不足や採用コストの効率化の観点から、RPOサービスの需要が高まっています。
RPOサービスの特徴は、クライアント企業との密接な関係性にあります。社内の採用担当者のように業務を行い、採用業務全般を包括的にサポートします。これにより、クライアント企業は本来の事業に注力しながら、効率的な採用活動を実現することができます。
また、RPOは単なる業務委託とは異なり、採用戦略の実行から日々の実務まで、専門的な知見を活かした支援を提供します。クライアント企業の文化や価値観を深く理解した上で、最適な採用活動を設計・実行することが求められます。
具体的な業務内容
RPOの仕事は、採用業務全般の実務代行が中心となります。クライアント企業の期待する採用成果を実現するため、日々様々な業務を遂行します。
主な業務内容 | 求められるスキル | |
---|---|---|
求人管理 | 原稿作成・掲載管理、効果測定 | ライティング力データ分析力 |
候補者対応 | 書類選考、面接日程調整、内定者フォロー | コミュニケーション力調整力 |
採用戦略実行 | スカウト送信、母集団形成、選考プロセス管理 | 企画力マーケティング思考 |
実績管理 | KPI管理、実績レポート作成、改善提案 | 分析力提案力 |
このような業務を通じて、クライアント企業の採用課題を解決し、採用目標の達成に貢献します。特に重要なのは、企業の採用ニーズを的確に把握し、効率的な採用活動を実現することです。日々の細かな実務から、採用全体の進捗管理まで、幅広い視点での業務遂行が求められます。
RPOの業務は多岐にわたりますが、全ての業務に共通するのは「採用成果への直接的な貢献」です。応募者対応から内定者フォローまで、採用プロセス全体に関わることで、採用活動の質を高めていきます。この実務経験の積み重ねが、RPOとしてのキャリアを形成する基礎となります。
収入モデルとキャリアパス
RPOの魅力は、実務経験を積みながら着実にキャリアアップできる環境が整っていることです。多くの企業では、経験とスキルに応じた段階的なキャリアパスが用意されており、実績を積むことで着実に収入を増やすことができます。
キャリアステージ | 主な役割 | 年収目安 |
---|---|---|
実務担当(1-2年目) | 基本的な採用実務の遂行 | 350-400万円 |
シニア担当(3-4年目) | チームリーダー、複数案件管理 | 450-550万円 |
マネージャー(5年目以上) | 採用戦略立案、組織管理 | 600-800万円 |
この収入モデルは一般的な目安であり、企業規模や担当案件の重要度によって大きく変動する可能性があります。特に実績を重ねることで、より高額な案件を担当できる機会が増えていきます。
また、RPOでの経験は採用業界でも高く評価され、キャリアの幅を広げることができます。実務経験を積んだ後、採用コンサルティングへの転向や、人事部門への転職など、様々なキャリアパスが考えられます。特に採用実務の専門家としての経験は、どのキャリアパスにおいても大きな強みとなるでしょう。
ビジネスモデルと市場動向
RPOサービスの市場は、企業の採用ニーズの多様化と人事部門の業務効率化の要請を背景に、年々拡大しています。特に近年は、デジタル化やグローバル化に伴い、より専門的な採用支援へのニーズが高まっています。
サービス形態 | 特徴 | 主なターゲット企業 |
---|---|---|
フルアウトソース型 | 採用業務全般を一括委託 | 大手企業、採用規模の大きい企業 |
スポット支援型 | 特定業務や期間限定で委託 | 中小企業、季節採用がある企業 |
ハイブリッド型 | 社内採用部門と協働 | 採用強化phase企業、成長企業 |
市場の成長に伴い、RPOサービスの提供形態も多様化しています。従来の大手人材会社による提供だけでなく、特定業界や職種に特化したブティック型のRPO企業も増加しています。また、テクノロジーを活用した新しいサービスモデルも登場し、市場に変化をもたらしています。
このような市場環境の中、RPO人材への需要は今後も堅調に推移すると予想されています。特に、採用のデジタル化やダイバーシティ採用など、新しい採用課題への対応力を持つRPO人材の価値は、さらに高まっていくと考えられます。
採用コンサルティングとは

採用コンサルティングは、企業の採用課題を戦略的な視点から解決に導く専門職です。クライアント企業の経営戦略と密接に連携しながら、採用全体の設計から実行支援まで、包括的なサービスを提供します。以下、具体的な特徴と仕事内容について解説していきます。
- 基本的な定義と特徴
- 具体的な業務内容
- 収入モデルとキャリアパス
- ビジネスモデルと市場動向
基本的な定義と特徴
採用コンサルティングとは、クライアント企業の採用課題を経営的視点から分析し、最適な解決策を提案・実行支援する専門家です。一時的な採用支援ではなく、中長期的な採用戦略の立案から実行まで、企業の採用活動全体に関わります。
採用コンサルタントの特徴は、その戦略的なアプローチにあります。企業の経営戦略や事業計画を深く理解した上で、それを実現するための採用戦略を設計します。クライアント企業にとっての戦略的パートナーとして、採用成果の最大化を目指します。
また、プロジェクトベースでの支援が基本となるため、複数のクライアント企業に対して並行してサービスを提供することが一般的です。それぞれの企業の特性や課題に応じて、柔軟な支援体制を構築することが求められます。
具体的な業務内容
採用コンサルタントの仕事は、企業の採用課題を解決するための戦略立案から実行支援まで、多岐にわたる業務を担います。
支援フェーズ | 主な業務内容 | 期待される成果 |
---|---|---|
戦略策定 | 市場分析、採用戦略立案、KPI設計 | 最適な採用計画の策定 |
実行設計 | 選考フロー設計、評価基準策定 | 効率的な採用プロセスの確立 |
組織支援 | 面接官トレーニング、採用組織構築 | 採用力の向上 |
採用広報 | ブランディング戦略、広報施策立案 | 採用競争力の強化 |
採用コンサルティングの価値は、クライアント企業の本質的な採用課題を解決することにあります。単なる採用数の増加だけでなく、採用の質の向上や、企業の成長を支える採用基盤の構築を重視します。
そのため、経営層との深い対話を通じて企業の方向性を理解し、それを採用活動に反映させていく必要があります。また、実務担当者との協働を通じて、実効性の高い施策を展開していきます。
収入モデルとキャリアパス
採用コンサルタントの年収は、経験年数とスキルレベルに応じて大きく変動します。特にクライアントへの提供価値が高まるにつれて、収入も比例して上昇していく傾向にあります。
キャリアステージ | 主な役割と責任 | 年収レンジ |
---|---|---|
ジュニアコンサルタント | リサーチ・分析業務、提案資料作成 | 500-600万円 |
コンサルタント | 戦略立案、プロジェクト推進 | 700-900万円 |
シニアコンサルタント | 大型案件統括、経営層との折衝 | 1000-1200万円 |
このようなキャリアパスを進める中で、特に重要となるのは実績とナレッジの蓄積です。担当プロジェクトの成功事例や、業界特有の知見を積み重ねることで、より高度な案件を任されるようになります。
また、経験を積むことで独立してコンサルティングファームを立ち上げたり、クライアント企業の人事部門の幹部として転身したりするなど、キャリアの選択肢も広がっていくのが特徴です。
ビジネスモデルと市場動向
採用コンサルティング市場は、企業の採用課題の高度化に伴い、着実な成長を続けています。特に近年は、従来の大量採用支援だけでなく、専門人材の確保や組織変革との連動など、より複雑な課題への対応が求められています。
サービス形態 | 特徴 | 主な収益モデル |
---|---|---|
プロジェクト型 | 期間限定の包括支援 | 固定報酬+成功報酬 |
顧問型 | 継続的な戦略支援 | 月額固定報酬制 |
スポット型 | 特定課題への支援 | 工数単価制 |
市場の拡大とともに、サービスの提供形態も多様化しています。大手コンサルティングファームによる総合的な支援から、特定業界や職種に特化したブティック型のコンサルティングまで、様々なプレイヤーが存在します。
特に注目されているのは、DX人材採用やグローバル採用など、専門性の高い分野に特化したコンサルティングサービスです。このような領域では、より高度な知見と経験が求められ、それに応じた報酬水準も期待できるでしょう。
RPOと採用コンサルティングの違い

両者は共に企業の採用活動を支援する職種ですが、その役割や求められるスキル、働き方には大きな違いがあります。転職を検討する際は、これらの違いを十分に理解した上で選択することが重要です。本章では以下の内容をご説明します。
- 働き方とキャリアの特徴
- 1日の業務の流れ
- 求められるスキルの違い
人材業界とHR業界の違いについて知りたい方はこちらの記事へ!人材業界とHR業界の違いとは?サービス内容や特徴を完全比較
働き方とキャリアの特徴
RPOと採用コンサルティングでは、クライアント企業との関わり方や業務の進め方が大きく異なります。この違いは、キャリア形成の方向性にも影響を与えます。
比較項目 | RPO | 採用コンサルティング |
---|---|---|
業務の性質 | 実務中心・継続的支援 | 戦略立案・プロジェクト型 |
クライアント関係 | 採用部門の一員として | 外部アドバイザーとして |
案件数 | 少数の深い関与 | 複数案件の並行進行 |
成長要素 | 実務スキルの段階的向上 | 戦略的思考力の醸成 |
RPOは特定のクライアントに深く入り込み、日々の採用業務を通じて実務経験を積み重ねていきます。一方、採用コンサルティングは複数のプロジェクトを並行して進めながら、戦略的な視点を養っていく形となります。
この働き方の違いは、キャリアの方向性にも大きく影響します。RPOでは実務のプロフェッショナルとして、採用コンサルティングでは戦略のスペシャリストとして、それぞれ異なる形でキャリアを築いていくことになります。
1日の業務の流れ
RPOと採用コンサルティングは、1日の業務の組み立て方や時間の使い方に大きな違いが見られます。それぞれの特徴的な業務の流れを理解することで、自身の志向との適性を判断する材料となります。以下がそれぞれの業務の一般的な1日の業務の流れの例です。
時間帯 | RPO | 採用コンサルティング |
---|---|---|
午前 | ・応募者対応・書類選考・面接日程調整 | ・クライアントミーティング・戦略検討・提案資料作成 |
午後 | ・スカウト送信・面接運営・日次報告 | ・プロジェクト会議・組織課題分析・戦略提案 |
特徴 | 定型的な業務が中心 | 案件ごとに異なる対応 |
RPOの業務は日々の採用活動に直結するため、定時的で計画的な業務遂行が基本となります。一方、採用コンサルティングはクライアントの状況や案件の進捗に応じて、柔軟な時間管理が求められます。
また、RPOは社内での業務が中心となりますが、採用コンサルティングはクライアント先での活動も多くなります。この違いは、ワークスタイルの選択においても重要な判断材料となるでしょう。
求められるスキルの違い
それぞれの職種で活躍するために必要なスキルセットは、明確に異なります。自身の強みや興味との相性を見極めることが、キャリア選択の重要なポイントとなります。
スキル分野 | RPO | 採用コンサルティング |
---|---|---|
実務スキル | 実務オペレーション力タスク管理能力コミュニケーション力 | 戦略立案力プレゼンテーション力問題解決力 |
専門知識 | 採用実務の専門知識労働法規の理解業界動向の把握 | 経営戦略の理解組織論の知識市場分析力 |
求められる素養 | 正確性迅速性継続力 | 論理的思考力創造性交渉力 |
RPOは実務を正確に遂行するためのオペレーション力とコミュニケーション力が重視されます。採用コンサルティングでは、クライアントの課題を分析し解決策を導き出す戦略的思考力とプレゼンテーション力が求められます。
これらのスキルは、経験を積むことで段階的に成長させていくことができます。ただし、自身の適性や志向性との相性を考慮した上で、キャリアパスを選択することが望ましいでしょう。
それぞれの職種に向いている人物像

転職を検討する際は、それぞれの職種と自身の適性との相性を慎重に見極めることが重要です。ここでは、RPOと採用コンサルティング、それぞれに適した人物像について詳しく解説していきます。
RPOに適している人
RPOでは、細やかな実務対応と継続的な業務改善に意欲的に取り組める人材が求められています。
適性要素 | 望ましい特徴 | 具体例 |
---|---|---|
性格特性 | 緻密さ、誠実性、協調性 | 計画的に業務を遂行できるチームでの連携を重視する |
思考特性 | 実務志向、改善志向 | 効率化を常に意識する業務の質にこだわりを持つ |
行動特性 | 着実さ、粘り強さ | 地道な業務にも前向きに取り組める最後まで責任を持つ |
特に活かせる経験としては、営業事務や人事実務などのバックオフィス経験が挙げられます。また、接客業での経験も、応募者対応などで活かすことができるでしょう。
一方で、決められた業務に満足できない人や、頻繁な変化を求める人には向いていない可能性があります。RPOは着実な実務遂行が基本となるため、このような特性との相性は考慮が必要です。
採用コンサルに適している人
採用コンサルティングでは、戦略的思考と課題解決への強い意欲を持つ人材が求められています。
適性要素 | 望ましい特徴 | 具体例 |
---|---|---|
性格特性 | 分析的、独創性、リーダーシップ | データに基づく判断ができる新しい視点を提供できる |
思考特性 | 戦略志向、課題発見力 | 本質的な課題を見抜ける解決策を構造的に考えられる |
行動特性 | 主体性、影響力 | 自ら提案できるクライアントを説得できる |
コンサルティング経験や経営企画、人事企画などの経験は、直接的に活かすことができます。また、営業職での経験も、クライアントとの関係構築において有用です。
一方で、指示待ちの姿勢が強い人や、変化への適応が苦手な人には向かない傾向があります。クライアントごとに異なる課題に柔軟に対応する必要があるためです。
転職時の選択ポイント
転職の際は、自身のキャリアビジョンと各職種の特性を照らし合わせ、最適な選択をすることが重要です。ここでは、具体的な判断材料を提示します。
判断項目 | RPO | 採用コンサルティング |
---|---|---|
キャリアの方向性 | 採用実務のスペシャリスト | 戦略立案のプロフェッショナル |
市場価値の高まり | 実務経験の蓄積による段階的向上 | プロジェクト実績による飛躍的向上 |
転職後の可能性 | 人事部門、採用管理職など | 経営企画、独立起業など |
選択の際は、まず自身の現在の経験やスキルを客観的に評価することから始めましょう。例えば、これまでの実務経験や、得意としている業務領域、今後伸ばしていきたいスキルなどを整理します。
また、転職市場の現状も重要な判断材料となります。現在は両職種とも人材需要が高く、経験者の市場価値は上昇傾向です。特に、デジタル領域での採用支援や、グローバル採用のコンサルティングなど、専門性の高い分野での需要が伸びています。
まとめ
RPOと採用コンサルティング、それぞれの職種には明確な特徴があり、求められる適性も異なります。どちらを選択するかは、自身のキャリアビジョンや適性との相性を十分に検討した上で判断することが望ましいでしょう。
特に重要なのは以下の3点です。
- 実務か戦略か、自身の志望とのマッチング
- 現在の経験・スキルの活かし方
- 将来のキャリアパスの見通し
採用業界でのキャリアを考える際は、これらのポイントを意識しながら、自身に最適な選択をすることをお勧めします。
