「転職って何回までOKなんだろう…」「周りの友達は転職してないのに、自分だけ多くて不安…」そう感じている方はいませんか?転職に関する不安や疑問を抱えている方は少なくありません。特に20〜30代は、キャリアの模索期間でもあり、転職を考える機会も多いもの。「転職回数が多いと不利になる」という話を聞いたこともあるのではないでしょうか?実際、転職回数だけで判断されることは少ないものの、適切な説明ができなければ、選考で不利になる可能性も否定できません。
本記事では、年代別の平均転職回数や、転職回数が多くても成功するための秘訣を具体的に解説します。転職活動に不安を抱えている方も、この記事を読めば、自信を持って次のステップへ進めるはずです。転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
転職回数の平均と年代別の実態

転職市場は、この10年で大きく変化しています。終身雇用の崩壊や、働き方改革の推進により、転職に対する考え方はより柔軟になってきました。転職活動において、まず気になるのは「自分の転職回数は多いのか?」という点です。客観的なデータに基づいて転職市場の実態を把握し、必要以上に不安がることなく、冷静に現状を分析してみましょう。こちらでは転職回数に対する一般的なイメージから業界別の平均転職回数について解説していきます。
- 転職回数に対する一般的なイメージ
- 転職回数の数え方と注意点
- 業界別の平均転職回数
転職回数に対する一般的なイメージ
世間一般では、何回転職すると「多い」と認識されるのでしょうか。結論から言うと、明確な基準はありません。あくまで企業や職種、そして時代背景によっても変化する流動的なものです。1つの目安として、30代前半で3回以上、30代後半で5回以上であれば、転職回数が多いと捉えられる可能性もあります。
しかし、大切なのは回数そのものではなく、転職理由やキャリアプランとの整合性になります。転職理由を論理的に説明し、一貫したキャリアプランを示すことができれば、転職回数が多いという印象を払拭できます。ただし、これらの数字はあくまで目安です。重要なのは転職の質であり、「転職の説明力」にかかっています。
転職回数の数え方と注意点
転職回数を数える際、正社員として雇用された回数のみをカウントするのが一般的です。派遣社員やアルバイト、契約社員としての経験は含まれません。つまり正社員として3社経験していれば転職回数は2回になります。企業によっては派遣社員や契約社員の経験も考慮する場合もあるので、応募先の企業の採用基準を事前に確認しておきましょう。
業界別の平均転職回数
業界によって平均転職回数には差があります。理由は転職市場の動向や働き方の特徴が業界ごとに異なるからです。下記の表で、業界ごとの平均転職回数とその業界特有の特徴についてまとめました。下記の表を参考に自分の業界が転職市場でどのような位置にあるかを把握しておきましょう。
業界 | 平均転職回数 | 各業界の特徴 |
IT・WEB・通信 | 2.8回 | 新しい技術の習得やキャリアアップを目的とした転職が多い。プロジェクト単位での雇用も一般的で転職しやすい環境が整っています。 |
広告・メディア | 2.5回 | 企画やクリエイティブを重視する業界です。スキルや経験を活かして別の企業やプロジェクトに移ることが一般的です。新しい挑戦を求めて転職するケースが目立ちます。 |
製造業 | 1.8回 | 技術職や現場職では長期雇用が一般的です。一方で、エンジニアリングや管理職はキャリアアップのための転職が増加しており、特に専門スキルを持つ人材は動きが活発な傾向があります。 |
金融 | 1.5回 | 安定志向が強い業界で、同じ企業で長期間働くことが一般的です。しかし、業界再編やデジタル化の影響で一部職種では転職が増加しています。 |
公務員 | 0.7回 | 職業の安定性や福利厚生の充実から、一度就職したら退職・転職するケースは少ない傾向です。 |
IT・WEB業界などは、比較的転職が多い傾向にあります。一方、金融業界や公務員などは、転職が少ない傾向です。また、コロナ禍以降、転職市場は活発化し、全体的な転職回数も増加傾向しています。これらの背景も理解しておくことが大切です。転職回数の考え方は、時代とともに変化しており、特にコロナ禍以降は働き方や価値観の多様化により、転職に対する寛容度は高まっている傾向にあります。
転職回数が多いのは不利?採用担当者のホンネと対策

転職回数が多いと不利になるのでは…と不安を感じている方も多いでしょう。しかし、転職回数の多さを気にする前に、採用担当者が実際に重視しているポイントを理解することが重要です。実は、転職回数の多さは、適切な説明ができれば十分にカバーできる要素です。 こちらでは、採用担当者は転職回数をどのように見ているのか?担当者のホンネと対策ポイントを解説していきます。
- 採用担当者が重視するポイント
- 転職理由とキャリアの一貫性
- 企業が求める人物像とのマッチング
採用担当者が重視するポイント
採用担当者は、転職回数だけで判断することはありません。職務経歴、スキル、そしてキャリアプランなど、総合的に評価しています。転職回数が多くても、それらの要素が優れていれば、十分に選考を通過する可能性はあります。
むしろ、多様な経験を活かせるポテンシャルとして評価されるケースも十分にあります。採用担当者が転職回数の多い応募者を評価する際の評価ポイントと、着目点、対策のポイントを下記の表でまとめます。
評価ポイント | 採用担当の具体的な着目点 | 対策のポイント |
キャリアの一貫性 | 経験スキルの積み上げ | 経験とスキルのつながりを明確に説明する |
転職の妥当性 | 各転職の理由 | 前向きな理由づけを準備しておく |
定着可能性 | 今回の転職の必然性 | 入社後のビジョンに具体性を持たせる |
採用担当者は「転職回数よりも、その方の経験が私たちの会社でどう活きるのか」に注目しています。回数が多くても、その経験を統合して新しい価値を生み出せる方であれば、むしろ積極的に採用したいと考えています。
転職理由とキャリアの一貫性
転職理由とキャリアの一貫性の説明も大切なポイントになります。各転職の理由を明確かつ論理的に説明し、キャリアプランとの一貫性を示すことができれば、転職回数が多いという懸念を払拭できます。それには前向きな理由や成長意欲に基づいた転職であることをアピールすることが大切です。ネガティブな理由をポジティブに言い換えた改善例を下記の表でよくあるNG例と改善例をまとめているので参考にしてみてください。
NG例 | 改善例 |
給与が低かった | より高度な専門性を身につけるため |
人間関係が合わなかった | より自分の強みを活かせる環境を求めて |
残業が多かった | ワークライフバランスを重視したキャリア構築のため |
会社の将来性に不安がある | 新しい技術やサービスに挑戦できる環境を求めて |
仕事が合わなかった | 自身の強みをより活かせる領域にチャレンジするため |
評価に不満があった | より専門性を高め、市場価値を向上させるため |
この表の改善例を活用する際の重要なポイントは、単に言い換えるだけでなく、具体的な事例や数値を交えて説明することです。また、転職理由を説明する際は、以下の3つの要素を含めることで、より説得力のある内容になります。
- 前職での具体的な実績や習得したスキル
- 現在の転職活動に至った明確な動機
- 将来のキャリアプランにおける必然性
このように、ネガティブな印象を与えかねない転職理由も、適切な表現と具体的な裏付けがあれば、むしろ積極的なキャリア形成の過程として評価されることにつながります。面接では、これらの要素を組み合わせながら、一貫性のあるストーリーとして説明することを心がけましょう。
企業が求める人物像とのマッチング
最後に企業の求める人物像との明確なマッチングが必要になることも理解しておきましょう。転職回数よりも、企業が求める人物像に合致しているかどうかが大切なポイントになります。企業研究を徹底し、自社の経験やスキルがどのように活かせるのか、そしてどのように貢献できるのかを具体的かつ明確に伝えましょう。特に効果的な自己アピールのポイントは下記の4つになります。
- 多様な経験を統合的に活かせる具体例
- 各社での成功体験と学びの提示
- 今回の転職が必然的な選択である理由
- 長期的なキャリアビジョンの提示
転職回数の多さは、適切な説明ができれば「多様な経験による強み」として評価されます。大切なのは、その経験がこれからのキャリアにどうつながるのかを明確に示すことです。
転職回数が多くても成功するための秘訣とは?

転職回数が多くても、戦略的に行動すれば、転職を成功させることは可能です。そのためには具体的な方法を理解し、前向きな気持ちで転職活動に取り組みましょう。成功するための秘訣は大きく分けて下記の2つになります。
- 転職理由をポジティブに伝える
- 明確なキャリアプランをアピールする
転職理由をポジティブに伝える
転職面接での印象を大きく左右するのが、転職理由の伝え方です。同じ内容でも、表現方法によって印象は大きく変わります。「前の会社が嫌だった」「人間関係がうまくいかなかった」などのネガティブな表現は避け、「スキルアップを目指して」「より成長できる環境を求めて」など、前向きな姿勢を示しましょう。NG例文とOK例文を参考にして、是非実践してみてください。
【NGな例文】
- 前職への不満を中心に話す
「上司と気が合わなかったので退職をした」
「残業が多すぎて耐えられなかった」
- 短期間での転職を正当化しようとする
「前職には好条件を期待して転職しましたが、想定より業務量が多かったので転職を決意しました。」
【OKな例文】
- スキルアップを目指して
「前職では営業職を担当し、多くの経験を積みましたが、さらに専門性を深めるためにマーケティングの分野に挑戦したいと思い、転職を決意しました」
- 会社の成長ステージに合わせて自分も成長したい
「スタートアップ企業で幅広い業務に携わりましたが、次は大手企業で組織的な働き方を学び、より規模感のあるプロジェクトに取り組みたいと考えています」
採用担当者が求めるのはポジティブなストーリーです。挑戦や成長、新しいスキルの習得など、前向きな理由を伝えることで好印象になります。仮に短期間の転職であっても「この経験を通じて〇〇を学びました」という形でポジティブな成果を付け加えると効果的です。
明確なキャリアプランをアピールする
転職面接では将来のビジョンを具体的に語り、企業の成長にどのように貢献したいのかを伝えましょう。キャリアプランと企業の理念が合致すれば、転職回数が多いというデメリットも克服できます。
キャリアステージ | アピールポイント | 具体的な説明例 |
短期(1〜2年) | 直接的な貢献 | 前職で得た〇〇の専門知識を活かし、〇〇の課題解決に貢献したいと考えています。 |
中期(3〜5年) | 役割の拡大 | チームリーダーとして〇〇の改善を推進したいと考えています。 |
長期(5年以上) | 経営視点 | 事業部門の中核として、〇〇の実現に寄与したいと考えています。 |
短期目標だけを語るのは不十分です。もしあなたが転職後、その企業で長く働きたいと考えているなら、中期・長期でのキャリアステージを明確に伝える必要があります。それにより、企業側に「長く貢献してくれる人材」という安心感を与えることとなります。
転職成功事例|回数が多い人のケーススタディ

自分の身の回りに何度も転職を繰り返している人が少ないというケースもあります。実際には複数回の転職を経験しながらも、理想のキャリアを実現している方は少なくありません。こちらの見出しでは転職回数が多くても成功を収めた例を紹介していきます。これらの事例から転職を成功に導くためのヒントを見つけてみてください。
- 事例①|未経験業界へのキャリアチェンジ
- 事例②|異業種へのキャリアチェンジ
事例①|未経験業界へのキャリアチェンジ
【キャリアプロフィール】
- 年齢:32歳
- 転職回数:4回
- 前職:アパレル業界の法人営業
- 現職:IT企業のセールスエンジニア
Aさんは、30代前半で転職回数は4回。これまで営業職を中心に経験してきましたが、未経験のIT業界への転職に挑戦。転職活動当初は、経験不足を理由に書類選考で落とされることが多々ありました。しかし、独学でプログラミングスキルを習得し、ポートフォリオを作成し、熱意をアピールした結果、IT企業から内定を獲得しました。
成功のポイント | 具体的な能力 | 効果 |
スキル補完 | 独学でのプログラミング学習 | 技術への理解度アピール |
経験の再定義 | 営業スキルのIT領域での活用法を整理 | 即戦力としての価値を示現 |
熱意の証明 | 個人開発のポートフォリオ作成 | 学習意欲と実践力をアピール |
事例②|異業種へのキャリアチェンジ
【キャリアプロフィール】
- 年齢:38歳
- 転職回数:5回
- 前職:製造業
- 現職:業務改善コンサルタント
Bさんは、30代後半で転職回数は5回。これまで製造業、サービス業、小売業など、様々な業界で経験を積んできました。その経験を活かし、異業種であるコンサルティング業界への転職を目指しました。多様な経験から得た問題解決能力やコミュニケーション能力を強調した結果、コンサルティングファームに転職成功。
成功のポイント | 具体的な能力 | 効果 |
強みの分析 | 各社での問題解決経験を体系化 | 汎用的なスキルセットの確立 |
知識の補強 | 資格取得 | 専門性の証明 |
ネットワーク構築 | 業界セミナーへの参加 | 業界理解の深化 |
ご紹介したものはあくまでも一例にはなりますが、転職回数が多くても、明確なキャリアビジョンと戦略的な転職活動があれば、理想の転職は十分に実現可能です。重要なのは、各転職に意味を持たせ、スキルや経験を積み重ねていく姿勢です。ご自身の状況や目標に合わせて、これらの事例から必要な要素を取り入れてみてください。
転職回数が多い場合の履歴書・職務経歴書の書き方

書類選考を通過するためには、転職回数の多さをカバーする戦略的な履歴書・職務経歴書の作成が不可欠です。こちらでは、採用担当者の目に留まる効果的な書き方を解説していきます。
経歴の見せ方のコツ
転職活動で必ず利用する履歴書、職務経歴書は、あなたのキャリアストーリーを伝える重要なツールです、もしあなたが過去に転職回数が多いという場合は、特に以下のポイントに注意して作成してみましょう。
1.職歴をまとめる
転職回数が多い場合、一つ一つ細かく記載すると「転職回数が多い人」という印象を与えかねません。同じ業種や職種での経験が続いている場合は、まとめて記載することで見やすさを保ちつつ、安定感を演出できます。
例文:「〇〇株式会社(2018年〜2023年)
営業職として新規開拓や既存顧客対応を担当。
その間、3社での勤務経験を通じ、業界知識と営業力を習得。」
2. 実績重視で書く
転職回数ではなく、成果や実績を強調することがポイントです。
どこの企業で何を達成し、どのように貢献したかを具体的な数値やエピソードで記載するようにしてください。
例文:「〇〇株式会社」(2018年〜2023年)
新規顧客獲得率120%達成
チームリーダーとして売上前年比150%増加に貢献
3. 一貫性のあるストーリーを持たせる
転職理由や職歴の説明に一貫したキャリアの軸を持たせることが重要です。「成長を追求する姿勢」や「新しいスキルの習得」というキーワードを盛り込むと、ポジティブに見られます。
例:「すべての転職において営業スキルの向上を目的とし、異なる業界で多様な経験を積んできました。」
4. 短期間の職歴は省略する場合も検討
特に短期間で退職した職歴については、無理に記載する必要はありません。ただし、職務経歴書に空白期間が生じないよう、説明可能な内容を準備しておきましょう。
5. 資格やスキルを効果的にアピール
職歴だけでなく、転職を通じて得たスキルや資格を強調することで、ポジティブな印象を与えることができます。
例文:「営業経験を活かし、〇〇の資格を取得。提案力が向上し受注率が大幅に増加」
当然ですが経歴の詐称はNGです。なので転職回数が多いことを無理に隠すのではなく、これまでの経験がどのようにあなたの価値を高めているかを伝えることが履歴書や職務経歴書の作成、面接時にも大切となるポイントです。履歴書や職務経歴書を通じて、採用担当者に『次のステージで活躍してくれる人材』と感じさせることを意識しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?仮に転職回数が多くても、決して転職活動で不利になるわけではありません。大切なのは、転職理由やキャリアプランを明確に説明し、企業の求める人物像とマッチしていることをアピールすることです。最後に下記にて転職成功のための具体的なアクションプランを表でまとめます。
ステップ | やるべきこと | 重要ポイント |
応募前 | 徹底的な企業研究 | 企業の課題把握 |
書類作成時 | 経歴の整理 | 一貫性の確保 |
面接準備 | 転職理由の整理 | 論理的な説明 |
面接時 | 具体的な貢献プランの提示 | 実現化のせいの提示 |
是非この記事で紹介した転職成功事例や履歴書・職務経歴書の書き方を参考に、自信を持って転職活動に臨んでください。転職回数が多いという事実に引け目を感じる必要はありません。それぞれの転職があなたにとってどのような経験や成長につながったのかを整理し、それを企業にポジティブに伝える姿勢が大切です。
特に、自分のスキルや実績を客観的に把握し、それをいかに新しい職場で活かせるかを論理的に説明できれば、転職回数はむしろ「多様な経験を持つ」という強みに変わります。
また、応募する企業が求める人物像や企業文化を事前に理解し、それに合った形で自分のキャリアや価値観をアピールすることもポイントです。一貫性のあるキャリアの軸を示すことで、採用担当者に安心感を与え、好印象を残せるでしょう。転職活動は、自分自身のキャリアを再定義する絶好の機会です。この記事を活用して、ぜひ次のステージへ踏み出してください。
