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人材紹介業界でリモートワークはできる?働き方の現状と可能な会社の見極め方を解説

人材紹介業界でリモートワークはできる?働き方の現状と可能な会社の見極め方を解説

人材紹介業界への転職を検討する際、「リモートワークは可能なのか」という疑問を持つ方は多いでしょう。営業職やコンサルタント職が中心となるこの業界では、従来の対面営業が重視されてきましたが、デジタル化の進展により働き方は大きく変化しています。

本記事では、人材紹介業界におけるリモートワークの現状と、実際にリモートワークが可能な企業の見極め方について解説します。

人材紹介業界におけるリモートワークの現状

人材紹介業界は、コロナ禍を機に業界全体でデジタル化が急速に進み、リモートワークへの対応も変化しています。現在の導入状況と企業規模による違いを詳しく見ていきましょう。

パーソルキャリアによるJob総研調査(2025年1月)では、全体の5割が「コロナ禍を経て出社頻度は減ったものの、今後は週5出社及び出社回帰がある」との回答が多数となりました。2025年の出社頻度を聞くと、「週5」が37.6%と最多となり、「週4」が14.2%、「週3」が12.6%、「週1」が12.4%、「週2」が9.2%、「フルリモート」が8.7%という結果が出ています。

人材紹介会社に限定した詳細データは少ないものの、dodaなどの求人情報を見る限りでは、一般企業と大きく変わらない状況といえます。ただし、2025年の理想の出社頻度では7割が週3以下を希望しており、理想と実態にギャップが生じているのも事実です。

参照:「Job総研『2025年 出社に関する実態調査』を実施しました」パーソルキャリア株式会社

大手・中小企業別のリモートワーク対応の違い

企業規模による導入格差は明確に存在しています。企業規模10,000人以上の大手企業において、2024年7月時点のテレワーク実施率が38.2%で、2023年同時期の35.4%から2.8ポイント増加している一方、正社員ベースで、「10~100人未満」が13.2%、「100~1,000人未満」が20.1%、「1,000~1万人未満」が30.2%、「1万人以上」が38.2%と、企業規模が大きいほど実施率が高い傾向にあります。

スタートアップや新興企業では、ITインフラの整備やデジタルツールの活用が進んでおり、柔軟な働き方を売りにして人材確保を図る戦略を取っている企業が多くなっています。

参照:「第九回・テレワークに関する定量調査」パーソル総合研究所

人材紹介業界でリモートワークが可能な理由

人材紹介業界では、他の業界と比較してリモートワークが導入しやすい環境が整っています。完全な在宅勤務は困難な場面もありますが、デジタル化の進展と成果重視の評価制度により、柔軟な働き方が実現できる土台があります。

デジタル化による営業活動の変化と業務効率化

人材紹介業界におけるデジタル化は急速に進み、従来の対面中心の営業スタイルから大きく変化しています。コロナ禍を機に導入されたオンラインツールが定着し、現在では多くの業務プロセスがリモート環境で完結できるようになりました

主なデジタル化の進展

  • Web面談システムの発展:Zoom、Microsoft Teams、Google Meetなどのツールにより、初回面談から最終面接まで一連のプロセスをオンラインで完結
  • クラウドベースCRM・ATSの活用:候補者情報の管理、進捗状況の把握、レポート作成などをリモート環境で効率的に実施
  • 書類の完全電子化:履歴書、職務経歴書、企業との契約書類などの電子化により、どこからでもアクセス可能
  • オンライン商談ツールの普及:企業との商談や提案プレゼンテーションをWeb会議で実施

これらの変化により、移動時間を大幅に削減し、より多くの候補者や企業とのコミュニケーションに時間を割けるようになっています。従来は1日2-3件が限界だった面談・商談が、オンライン化により5-6件の対応も可能になりました

成果重視の評価制度とリモートワークの親和性

人材紹介業界は元来、売上、成約数、紹介実績といった定量的な指標で評価される成果主義の文化が根強い業界です。この評価制度がリモートワークとの親和性を高める大きな要因となっています。

成果主義が支えるリモートワーク環境の特徴

  • 明確な数値目標:成約件数、売上金額、候補者の内定率など、働く場所に関係なく測定可能な指標での評価
  • 結果重視の文化:プロセス管理よりも結果を重視し、「どこで働いても成果を出せば評価される」環境
  • 充実したインセンティブ制度:個人の裁量で働き方を調整しながら効率的に成果を上げることで収入アップが可能
  • 自律的な業務進行:個人のペースで業務を進められるため、ワークライフバランスの改善と収入向上を両立

このように、成果が数字で明確に見える業界特性が、リモートワークの成功を後押ししているのです。

職種別リモートワーク対応状況と働き方の実態

人材紹介業界では職種によってリモートワークの対応状況が大きく異なります。キャリアアドバイザー(CA)、リクルーティングアドバイザー(RA)、両面型コンサルタントそれぞれの特性に応じて、リモートワークの実現度や制約が変わってきます。

職種リモートワーク対応度例主な業務内容
キャリアアドバイザー週2-3日程度可能求職者面談、キャリア相談
リクルーティングアドバイザー週1-2日程度可能新規開拓、既存フォロー
両面型コンサルタント週1-2日程度可能CA・RA業務兼務

キャリアアドバイザー(CA)のリモートワーク事情

キャリアアドバイザーは求職者との信頼関係構築が最重要な業務であり、従来は対面での面談が重視されてきました。しかし、コロナ禍を機にオンライン面談が急速に定着し、現在では初回面談から継続的なキャリア相談まで、多くのプロセスがオンラインで実施されています。

Web面談の普及により、地理的な制約が大幅に緩和され、遠方の求職者ともスムーズにコミュニケーションが取れるようになりました。画面共有機能を活用した履歴書の添削や面接対策も効率的に行えるため、従来以上に充実したサポートを提供できる環境が整っています。

ただし、重要な場面では対面での面談を実施するCAも存在します。特に役員クラスの転職支援や、繊細な相談内容を扱う際には、対面でのコミュニケーションを重視する傾向があります。また、転職フェアやキャリアセミナーなどのイベントに参加する際には、必然的に対面での業務が発生するため、完全なリモートワークは困難といえるでしょう。

リクルーティングアドバイザー(RA)のリモートワーク事情

リクルーティングアドバイザーの業務は新規開拓営業から既存企業のフォローまで幅広く、リモートワークの実現度は企業や案件によって大きく左右されます。テレアポや初回の企業説明は完全にオンライン化が進んでおり、Web会議システムを活用した効率的な営業活動が可能になっています。

既存顧客とのフォロー業務についても、定例会議や進捗報告のほとんどがオンラインで実施されています。クラウドベースの営業管理システムにより、案件の進捗状況や顧客情報をリアルタイムで共有できるため、チーム連携もスムーズに行えます。

しかし、重要な商談や契約締結の場面では、対面での実施を求められることが多いのが現実です。特に大型案件や長期契約の交渉では、企業側が対面でのミーティングを希望するケースが頻繁にあります。また、企業の採用イベントやセミナーへの参加も必要となるため、RAのリモートワーク実現度は他職種と比較してやや制限があるといえるでしょう。

両面型コンサルタントのリモートワーク事情

両面型コンサルタントはCA・RA両方の業務を兼務するため、より多くの対面業務が発生し、完全リモートは困難な職種です。求職者との面談と企業への営業活動の両方を担当するため、スケジュール調整も複雑になり、フルリモートでの働き方は現実的ではありません。

一方で、業務の幅広さが逆にリモートワークのメリットを活かしやすい面もあります。移動時間の削減により、より多くの候補者と企業の双方とコミュニケーションを取る時間を確保できるため、効率的な業務運営が可能になります。

多くの企業では、両面型コンサルタントに対してハイブリッドワーク(週2-3日リモート)を現実的な落としどころとして設定しています。重要な商談や面談は対面で実施し、書類作成や電話業務、軽微な打ち合わせはリモートで行うという使い分けが一般的になっています。

リモートワーク可能な人材紹介会社の見極め方

人材紹介業界では「リモートワーク可」と表記していても、実際は月1-2回程度の出社が求められる企業が大半を占めています。

真にリモートワークが機能している企業を見極めるためには、表面的な制度だけでなく、実際の運用状況や企業文化を詳しく調査することが重要です。

ITツール・システム環境の充実度をチェックする

リモートワークが本格的に機能している人材紹介会社は、CRM(顧客関係管理)システムやATS(応募者追跡システム)が充実している傾向があります。これらのシステムが整備されている企業ほど、社員が場所を選ばずに効率的に業務を進められる環境が構築されているのです。

具体的には、クラウドベースの顧客管理システム、Web面談ツールの標準化、電子契約システムの導入状況などを確認しましょう。また、PC貸与やセキュリティ体制が整備されていない企業は、形だけのリモートワークを謳っている可能性が高いため注意が必要です。

面接の際には、実際に使用しているツールの種類や、システム導入にかけている投資額について質問することで、企業のリモートワークに対する本気度を測ることができます。セキュリティ面での取り組みや、ITサポート体制の有無も重要な判断材料となります。

評価制度・勤務体系から企業の本気度を判断する

成果重視の評価制度が確立されている企業の方が、リモートワーク運用が成功している傾向があります。売上や成約数などの定量的な指標で評価が行われ、プロセス管理よりも結果を重視する文化がある企業では、働く場所の自由度が高くなっています

一方で、コアタイム設定が厳格すぎる企業は実質的な自由度が低く、リモートワークが形骸化しているケースが多く見られます。「9時-17時は必ずオンライン状態を維持」「毎日定時の進捗報告が必須」といった過度な管理体制がある企業は避けた方が賢明です。

勤務体系については、フレックスタイム制度の有無、休暇取得のしやすさ、残業時間の実態なども確認ポイントです。真にリモートワークが浸透している企業では、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が全体的に推進されている傾向があります。

企業レビューサイトや面接・面談で確認する

転職会議OpenWorkの評判などの企業レビューサイトで実際の社員の口コミを確認すると、「リモートワーク可」の実態を把握できます。特に「リモートワーク」「在宅勤務」「出社頻度」などのキーワードで検索し、複数の投稿を比較検討することが重要です。

面接では抽象的な質問ではなく、「実際に週何日リモートで働いている社員がいるか」「職種別の出社頻度の違い」「リモートワーク中のコミュニケーション方法」など、具体的で現場レベルの質問をすることが効果的です。

また、面接官自身のリモートワーク実施状況や、チーム内でのリモートワーク活用事例を聞くことで、企業の実際の運用状況を把握できるでしょう。

人材紹介業界でリモートワークするメリット・デメリット

人材紹介業界特有の働き方を踏まえると、リモートワークには独特のメリットとデメリットが存在します。営業職や対人業務が中心となる業界特性を理解した上で、リモートワークの効果を最大化する方法を検討することが重要です。

項目メリットデメリット
業務効率通勤時間削減で面談件数増加先輩のノウハウ習得機会減少
スキル向上多様な業界との接点拡大業界知識習得の遅れ
ワークライフバランス残業削減とプライベート確保孤独感とプレッシャー増大
収入面効率化によるインセンティブ向上成果主義による精神的負担

人材紹介業界のリモートワークのメリット

以下が代表的なメリットになります。

通勤時間削減で商談スキルを集中的に磨ける

リモートワークの最大のメリットは、通勤時間や移動時間の削減により、1日の面談・商談件数を大幅に増やせることです。従来は企業訪問や求職者との対面面談で1日2-3件が限界だった業務が、オンライン化により5-6件の対応が可能になるケースも多くあります。

この経験値の蓄積は、キャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーとしてのスキル向上に直結します。短期間で多様な案件に携わることで、業界知識の幅が広がり、様々な職種や企業規模の特徴を理解できるようになるのです。面談回数の増加により、求職者の本音を引き出すヒアリング技術や、企業のニーズを的確に把握する営業スキルも向上しやすくなります。

ワークライフバランスと収入アップの両立

時間効率化により残業時間が減ることで、プライベート時間を確保しやすくなります。人材紹介業界は夜遅くまで働くことが多い業界として知られていますが、リモートワークにより効率的な時間管理が可能になり、家族との時間や自己研鑽の時間を確保できるようになります。

また、商談件数の増加は成果向上に直結し、インセンティブ収入の増加も期待できます。成果主義の評価制度を活用して、効率的に業務を進めることで収入アップとワークライフバランスの改善を同時に実現できる点は、人材紹介業界でリモートワークをする大きな魅力といえます。

人材紹介業界特有のリモートワークのデメリット

以下が代表的なデメリットになります。

業界未経験者の成長スピードが遅くなる

人材紹介業界では、先輩コンサルタントの商談を横で聞いたり、実際の営業プロセスを見学したりすることで学ぶOJT(On-the-Job Training)が重要な成長機会となっています。リモートワークが中心になると、こうした学習機会が大幅に減少し、特に業界未経験者の成長スピードが遅くなる傾向があります

営業ノウハウの習得には実際の商談現場での経験が不可欠ですが、オンライン環境では先輩の商談を見学する機会が限定されます。また、業界特有の企業情報や転職市場の動向について、雑談の中で得られる情報も減少するため、即戦力になるまでに時間がかかるケースが多く見られます。

孤独感とプレッシャーが増大しやすい

リモートワークでは一人で商談を進める時間が長くなり、困った時に気軽に相談できる機会が減少します。人材紹介業界は成果が数字で明確に見える分、プレッシャーを感じやすい職種でもあるため、一人で抱え込んでしまうリスクが高まります

特に難しい案件や思うように成果が上がらない時期には、同僚や上司からのサポートが得にくくなり、精神的な負担が大きくなる傾向があります。チームでの情報共有や励まし合いの機会も減るため、モチベーション維持が困難になるケースも報告されています。

定期的なオンライン面談やチームビルディングの機会を設ける企業も増えていますが、対面でのコミュニケーションと比較すると限界があるのが現実です。

まとめ:人材紹介業界でリモートワークを実現するための行動計画

人材紹介業界におけるリモートワークは、職種や企業規模により実現度が大きく異なりますが、デジタル化の進展と成果主義の文化により、従来以上に柔軟な働き方が可能になっています。2025年の調査データでは、週5出社が37.6%と最多である一方、7割の人が週3以下の出社を希望しており、理想と現実のギャップが存在しています。

リモートワークを成功させるためには、企業選びの段階での慎重な見極めが重要です。ITツールの充実度、成果重視の評価制度、実際の運用状況を企業レビューサイトや面接で詳しく確認することで、形だけではない真のリモートワーク環境を見つけることができます。

人材紹介業界特有のメリットとして、通勤時間削減による面談件数の増加とスキル向上、ワークライフバランスと収入アップの両立が挙げられる一方、業界未経験者の成長スピード低下や孤独感の増大といったデメリットも理解しておく必要があります。これらの特性を踏まえて、自身のキャリアステージや働き方の優先順位に合った企業選びを行うことが、人材紹介業界でのリモートワーク成功の鍵となります。