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30代の60%はキャリアプランが思いつかない?考え方から面接用の例文まで徹底解説

30代の60%はキャリアプランが思いつかない?考え方から面接用の例文まで徹底解説

30代になると、仕事でもプライベートでも選択を迫られる場面が増えてきます。キャリアプランや人生設計で悩む人は少なくないでしょう。

実際、30代のビジネスパーソンの約60%がキャリアプランを持っていないという調査結果もあります。

この記事では、30代でキャリアプランが思いつかない原因から具体的な作り方と転職面接で使える例文まで解説します。

参照:「社会人4500に聞いた『キャリアプラン』意識調査」エン・ジャパン株式会社

目次

20代と30代でキャリアプランの意味が変わる|考えるべき理由

20代と30代では、キャリアプランに求められる意味が大きく変わります。20代は自分に合った仕事を探す時期でしたが、30代は経験を活かして方向性を定める時期です

転職市場での評価基準も変化します。20代はポテンシャルや伸びしろが重視されますが、30代は即戦力として具体的なスキルや実績が求められることが多い傾向にあります。

さらに、30代は人生の選択肢が最も多い時期でもあります。40代以降は大きな方向転換が難しくなるため、30代のうちにキャリアの軸を定めることが重要になります。

30代でキャリアプランが思いつかない5つの原因

ここではキャリアプランが思いつかない主な5つの原因について解説します。原因を理解することで、キャリアプランを見つめ直すきっかけになるかもしれません。

原因①:自己理解が不足している

自分の強みや弱み、価値観を十分に言語化できていないことによって、キャリアプランを立てる土台となる自己理解が不足している可能性があります。

強みや弱みを漠然とわかっていても、具体的に何が得意なのか説明できなければキャリアプランには繋げにくいでしょう。

また、過去の経験やスキルの棚卸しをすることも大切です。スキルや特性の細かい要素まで分解できていないと、次のキャリアも曖昧なままになってしまいます

原因②:現状維持バイアスに陥っている

現状維持バイアスとは、心理学で広く知られる傾向です。人は変化による不確実性を避け現状を選ぶ傾向がある、というものです。

30代になると、住宅ローンや家族の生活、職場での立場など、20代の頃とは比較にならないほど、失えないものが増える方がほとんどでしょう。

こうした状況では、変化よりも現状維持を選びがちです。新たな決断をするリスクばかりが頭をよぎり、キャリアプランが思いつかない状態になっている可能性があります。

原因③:周囲の期待や評価に縛られている

「30代なら管理職を目指すべき」「この年齢で転職は遅い」といった固定観念に縛られ、自分の本当の希望が見えなくなっていることもあるでしょう。

家族や上司の期待に応えようとするあまり、自分の気持ちを後回しにしてしまうケースも考えられます。

SNSで同期や友人の成功を目にすることもプレッシャーとなり、将来を考える妨げとなっている可能性もあります。他人と自分を比較することで焦りが増長され、キャリアプランが思いつきにくくなってしまうでしょう。

原因④:選択肢が多すぎて決められない

30代は経験やスキルが増えた分、選べる道や可能性も広がるでしょう。

しかし、選択肢が多いことは必ずしもプラスではありません。様々な選択の先を考えるうちに、決断できなくなることがあるためです。心理学では「決断疲れ」と呼ばれる現象で、選択肢が多すぎると人は選べなくなります。

また、一つの道を選ぶことは他の道を諦めることでもあります。この「機会損失」への恐れが、決断を先延ばしにしていることもあるでしょう。

原因⑤:ライフステージの変化で迷いが生じている

30代は結婚、出産、育児、親の介護など、人生の大きなイベントが集中しがちな時期です。こうしたライフイベントは、キャリアについて考える優先順位を揺るがせるでしょう。

出産を控えた女性なら、育休後のキャリアをどう描くか悩むでしょう。男性でも、育児と昇進の両立に難しさを感じることが考えられます。出産・育児は計画がなくても、親の介護によって将来的な働き方を見直す必要性を感じる人も多いはずです。

30代にキャリアプランが必要な4つの理由

30代でキャリアプランを考える必要がある理由は以下のようなものが挙げられます。

理由①:キャリアの分岐点だから今が最後のチャンス

30代は一般的に、スペシャリスト・マネジメント・キャリアチェンジという大きな選択を迫られる時期でしょう。

40代以降になると、こうした方向転換は難しい傾向にあります。30代で決めた方向性が、今後30年以上のキャリアを決定づけるといっても過言ではありません。

だからこそ、30代のうちにキャリアの軸を定めることが重要です。今が最後のチャンスだという意識を持ってキャリアプランを考えましょう。

理由②:市場価値を高められる最後の年代

30代は市場価値を高められる最後の年代と一般的に言われています。この時期にスキルアップや新しい挑戦に投資することで、市場価値を大きく高められるでしょう。

年齢を重ねるほど新しいスキルを身につける学習コストが高くなり、投資に見合うリターンを得にくくなるため、スキルアップの投資効果が最も高い時期が30代と言われています。この期間を戦略的に使えるかどうかが、その後のキャリアに影響します

理由③:転職市場で最も評価される年代

株式会社マイナビの調査によると、30代男性の正社員転職率は全世代の中、最も多い状況です。この理由の一つとして、20代より実績があり、40代より柔軟性があるというバランスの良さが評価されていることが考えられます。

年収アップやキャリアアップを狙うなら、30代が最大のチャンスです。この機会を逃さず、自分の市場価値を最大化するためにも、明確なキャリアプランをえがくと良いでしょう。

参照:「転職動向調査2025年度版」株式会社マイナビ

理由④:人生100年時代の折り返し地点

定年という概念が薄れつつある今、60歳以降も働き続ける可能性が高まっています。厚生労働省の調査によると、定年を60歳とする企業は減少し、それ以上とする企業は増加しています。

30代から残り30年以上のキャリアを見据えた設計が必要となっている状況です。

長期的なキャリア設計がないと、40代以降で行き詰まるリスクがあります。体力や学習能力が衰える前に、自分の強みや専門性を確立しておくことが大切です。

参照:「令和6年度版『高年齢者雇用状況等報告』」厚生労働省

【面接用】30代のキャリアプラン例文5選

ここでは、パターン別に面接で使える例文を紹介します。転職を考えている方も考えていない方もキャリアプランを考える際の参考にしてください。

例①:スペシャリストとして専門性を極める

このパターンのポイントは、専門分野を明確に示すことです。スキルアップの具体策と、その企業で実現できる理由を結びつけることで、説得力が増します。

例文現在のマーケティング職で培ったデータ分析の知見をさらに深め、3年後にはデータサイエンスの領域でスペシャリストとして活躍したいと考えています。そのために、統計学やPythonなどの技術スキルを習得し、実務で成果を出しながら専門性を高めていきます。御社では大規模なデータを扱うプロジェクトに携われると伺っており、自分のスキルを磨く最適な環境だと感じています。

スペシャリスト志向の人は、技術の進化や業界のトレンドにも触れると良いでしょう。時代背景を加えることで、キャリアプランの妥当性が増します。

例②:マネジメント職を目指してキャリアアップ

マネジメント志向のキャリアプランでは、「人を育てる」「組織を動かす」という視点を示すことが重要です。

例文現在はプレイヤーとして営業実績を積んでおり、今後3年間でチームマネジメントの経験を積みたいと考えています。5年後にはチームリーダーとして、組織全体の売上目標達成に貢献したいです。そのために、現在はメンバーの育成やプロジェクト管理のスキルを意識的に磨いています。御社では若手にもマネジメントの機会を与えていると伺い、自分の成長を加速できると感じました。

単に「昇進したい」ではなく、リーダーシップやチームビルディングへの関心を具体的に語ると良いでしょう。

例③:ゼネラリストとして幅広い経験を積む

ゼネラリスト志向では、既存スキルの応用性を示すことがポイントです。

例文営業職で培った顧客折衝力や課題発見力を活かし、企画職や事業開発など異なる部署での経験を積みたいと考えています。3年後には複数の部署を経験し、事業全体を俯瞰できる視点を持ちたいです。最終的には、営業と企画の両方を理解したプロジェクトマネージャーとして、新規事業の立ち上げに携わりたいと考えています。御社では部署間の異動が活発で、幅広い経験を積める環境だと感じています。

このパターンは、社内でのキャリアアップを目指す場合にも有効です。一つの会社で多様な経験を積みたいという姿勢は、企業からも好意的に受け止められます。

例④:未経験業種・職種へキャリアチェンジする

キャリアチェンジを目指す場合は、これまでの経験をどのように活かすのか、明確にすることが重要です。

例文これまで事務職で培った業務効率化のスキルや、細部まで正確に業務を遂行する力を、IT業界で活かしたいと考えています。現在はプログラミングスクールでPythonを学習中で、基礎的なアプリ開発ができるレベルまで到達しました。3年後にはエンジニアとして一人前になり、5年後には業務システムの企画から開発まで担当できる人材になりたいです。御社の未経験者向け研修制度と、実践的なプロジェクト参加の機会に魅力を感じています。

学習意欲の表明も欠かせません。未経験であることをネガティブに捉えず、新しい挑戦への熱意を前面に出しましょう。

例⑤:フリーランス・起業で独立する

独立志向を伝える際は、企業への貢献も同時に示すことが重要です。「すぐに辞める人」と思われないよう、在職中の貢献意欲を明確にします。

例文御社で3〜5年間、営業ノウハウや顧客管理のスキルを習得した後、独立してコンサルタントとして活動したいと考えています。特に中小企業向けの営業支援に特化し、自分の経験を活かして企業の成長に貢献したいです。在職中は御社の売上目標達成に全力を尽くしながら、業界知識や人脈を構築していきます。独立後も御社との良好な関係を維持し、協力できる場面があれば貢献したいと考えています。

独立後のビジョンを具体的に語ることで、計画性があることを示せます。ただし、面接では独立の話ばかりにならないよう、バランスに注意が必要です。

h2:【男女別】ライフイベントを踏まえたキャリアプラン例

ライフイベントとキャリアの両立は、30代の大きな課題です。ここでは男女別に、具体的なプラン例を紹介します。

【女性】出産・育児と両立しながら専門性を高める

出産・育児期間中とキャリアを両立するには、在宅や時短でも価値を発揮できるスキルが重要です。たとえば、Webデザイナーやプログラマーなど、場所を選ばず働ける職種は両立しやすいでしょう。

復職を見据えたキャリア設計も大切です。育休中に資格を取得したり、フリーランスで働くことで、スキルのブランクを防げるでしょう。復帰後はまず時短で業務に慣れ、子どもの成長に合わせてフルタイムに移行するステップを描いておくと安心です。

【女性】時短勤務からフルタイム復帰を目指す

育児中の時短勤務は、業務範囲が限られがちです。限られた時間で成果を出すために、業務の優先順位付けやツールの活用など、生産性向上に注力しましょう。

段階的なキャリア復帰プランを立てることも重要です。たとえば、子どもの小学校入学を機にフルタイムに戻り、その1年後にはプロジェクトリーダーを目指すといったプランです。こうした具体的なステップがあると、モチベーションを維持しやすくなります。

【男性】育児参加しながらマネジメント職を目指す

育児と昇進の両立という課題に直面する方も少なくないはずです。長時間労働に頼らず成果を出すために、業務の無駄を省き、効率的な働き方の確立する仕組みを作りましょう。

ワークライフバランスを重視する姿勢は、チームメンバーにも良い影響を与えます。育児と仕事を両立させているロールモデルになることで、チーム全体のモチベーション向上につながるでしょう。

【男女共通】親の介護に備えて柔軟な働き方へ転換する

30代以降、親の介護が現実的な問題になってくるでしょう。介護離職を避けるには、早めに柔軟な働き方へシフトすることが重要です。

リモートワーク可能な職種への転職や、副業で複数の収入源を確保するなど、場所や時間に縛られない働き方を構築しましょう。様々な選択肢を視野に入れることで、介護が必要になったときの選択肢が広がります。

将来の介護リスクを見据えた準備は、キャリアプランに組み込むべき要素です。

【3ステップ】30代キャリアプランの考え方|転職にも使える実践法

具体的なキャリアプランの作り方を、3つのステップで解説します。このプロセスは転職活動にもそのまま活用できます。

STEP1:キャリアの棚卸しで現在地を把握する

キャリアプランの第一歩は、現在地の把握です。これまでの職務経験、身につけたスキル、出した実績を具体的にリスト化してみましょう。

自分の強みと弱みを言語化することも重要です。仕事に対する現状の満足度と不満点の整理も忘れずに行いましょう。仕事内容、人間関係、待遇、成長機会など、項目ごとに5段階で評価します。

不満点は現職場で解決可能かどうか判断することで、次のステップが見えてきます。

STEP2:理想の未来像を具体的に描く

現在地がわかったら、次は目指すべきゴールを設定します。3年後、5年後、10年後のありたい姿を、時間軸ごとに描いてみましょう。

Will(やりたいこと)、Can(できること)、Must(求められること)フレームワークを使い、この3つの重なりを見つけることで、実現可能性の高いキャリアプランが描けます。

ライフプランとの整合性も確認しましょう。ライフイベントとキャリアイベント、両者が矛盾していないか、無理のないスケジュールになっているかをチェックすることが大切です。

STEP3:現在地と理想のギャップを埋める行動計画を立てる

現在地と理想のギャップが明確になったら、それを埋めるための行動計画を立てます。理想実現に必要なスキル、経験、人脈をリストアップしましょう。

次に、それぞれを「いつまでに・何を・どうする」の形で具体的なアクションプランに落とし込みます。このとき、定期的な見直しも計画に組み込みましょう。3ヶ月〜半年ごとに進捗を確認し、必要に応じて計画を修正するといった具合です。

環境の変化やライフイベントに応じて柔軟に調整することで、実現可能性の高いプランを維持できます。

よくある質問|30代のキャリアプランQ&A

ここでは30代のキャリアプランに関して、よくある質問を解説します。

Q1:30代前半と後半でキャリアプランの考え方は違う?

30代前半(30〜34歳)と後半(35〜39歳)では、取るべき戦略が変わります。前半はまだチャレンジの余地が大きく、未経験分野への転職やキャリアチェンジも十分可能であるためです。

30代後半になると、専門性の深堀りやマネジメント志向が現実的です。未経験分野への転職は難易度が上がるため、これまでの経験を活かしたキャリアアップに重点を置く方が賢明でしょう。

ただし、明確な戦略と準備があれば、37〜39歳でも新しい挑戦は可能です。年齢によって取るべきリスクの大きさが変わることを理解し、自分の年齢に合った戦略を立てることが大切です。

Q2:キャリアプランは転職時に必ず聞かれる?

30代の転職面接では、キャリアプランは高確率で質問されるでしょう。企業がキャリアプランを聞く理由は、定着性と成長意欲の確認です。

転職面接では、その企業の事業内容や組織体制を理解した上で、具体的に伝えましょう。企業側も自社で活躍できる人材かどうかを見極めたいので、リアリティのあるプランほど評価されます。

Q3:一度立てたキャリアプランは変更してもいい?

キャリアプランは変更して当然です。環境の変化、ライフイベント、価値観の変化など、プランを修正すべき理由は数多くあります。むしろ、状況が変わっているのに同じプランに固執する方が危険です。

定期的な見直しを前提にプランを立てることが重要です。見直しのタイミングを決めておくことで、適切な軌道修正ができます。

ただし、頻繁に方向性を変えすぎるのは問題です。柔軟性を持ちながらも、キャリアの軸はぶらさないバランスが大切です。

Q4:キャリアチェンジは30代後半でも間に合う?

30代後半でもキャリアチェンジは可能ですが、戦略が必要です。重要なのは、完全な未経験ではなく、一部のスキルは活用できることをアピールすることです。

学習意欲を行動で示すことも欠かせません。すでにスクールで学んでいる、資格を取得した、副業で実績を作っているなど、具体的な準備があれば説得力が増します。30代後半のキャリアチェンジには、20代以上の準備と覚悟が求められると考えてください。

まとめ:30代は最後のキャリアデザインのチャンス|今日から始める一歩

30代でキャリアプランが思いつかないのは、決して珍しいことではありません。さまざまな要因がキャリアプラン構築の妨げになっている可能性があります。

完璧なプランを求める必要はありません。状況に応じて柔軟に修正しながら、自分なりの軸を持つことが大切です。

転職エージェントやキャリアコーチなど、プロの力を借りることも選択肢の一つです。第三者の視点を取り入れることで、自分では気づかなかった強みや可能性が見えてくることもあります。

一人で悩まず、使えるリソースは積極的に活用しキャリアプランを立てていきましょう。