転職活動の際に必ず目にするものとして、求人情報が挙げられます。求人情報には、募集している職種の情報や企業情報など様々な項目が載っているため、すべて目を通すのが面倒に感じることもあるかもしれません。
ただ、転職活動を成功させる上で、求人情報の確認は必須になります。今回は、求人情報に掲載されている情報の中でも、必ずチェックするべき項目に絞って徹底解説していきます。転職活動で失敗したくない方、求人情報の見方がいまいち分からない方は、ぜひ最後までご覧になってください。
目次
求人情報で必ずチェックする項目
- 給与金額
- 給与体系
- 仕事内容
- 平均残業時間、残業代の支払い
- 休日体系
- 年間休日日数
- 有給休暇
- 応募条件
- 試用期間
- 交通費
給与金額
求人に記載されている給与について、特に記載がない場合は、金額は「額面」で記載されています。このため、実際の手取りは健康保険料や社会保険料、住民税などが差し引かれるので注意が必要です。
差し引かれる金額の目安は、およそ額面の20%が目安になります。たとえば、額面が30万円の場合、手取り金額は「30万円-30万円×20%=24万円」です。なお、企業によっては組合費や社内預金などが差し引かれるケースがあるので、実際にどのような控除項目があるか確認しておきましょう。
給与体系

求人情報に記載されている給与体系についても要チェックです。給与体系は企業によって異なるため、給与金額と合わせて必ず確認しましょう。以下、代表的な給与体系の一覧になります。
- 固定給
- 基本給
- 年俸制
- 日給月給制
固定給
固定給とは、時間・月ごとに決められた金額が支払われる給与体系です。時給制や日給制、月給制などが固定給にあたります。日本では、正社員・契約社員は月給制、アルバイト・派遣社員は時給制が採用されていることが多いです。
固定給の中には、各種手当もすべて含まれています。たとえば、家族手当や資格手当なども固定給の中に含まれる形です。
基本給
基本給は、給与金額のベースとなる金額になります。基本給には、各種手当の金額は含まれません。このため、固定給の金額とは異なるので注意してください。
なお、賞与がある場合、賞与の金額は基本給をベースにして設定されることが多いです。たとえば、「基本給×2か月分」といったように設定されています。基本給の金額によって賞与の金額も大きく変わります。固定給が高くても、基本給が低いと賞与金額が低くなってしまうので、必ず基本給の金額も確認しましょう。
年俸制
年俸制とは、1年単位での給与総額に対して合意・更改を行っていく給与体系です。年俸制と聞くと、プロスポーツ選手の給与をイメージされる方も多いと思いますが、企業においても年俸制を採用しているところがあります。特に、外資系の企業で年俸制が採用されているケースが多いです。
ただ、日本の労働基準法においては「毎月1回以上の支払いの原則」が定められているため、年俸制の場合でも月ごとに給与が支払われます。合意された年俸を12か月分で割って、支給される形です。
日給月給制
日給月給制は、1日を計算単位として給与の月額が決められている給与体系です。労働日数が多い月は給料が増え、労働日数が少ない月は給与が減る形になります。
また、遅刻や早退、欠勤が生じた際は、その分が月額金額から減額されます。このため、遅刻・早退・欠勤が多くなると、給与金額が少なくなるので注意が必要です。
仕事内容
求人に記載されている仕事内容も必ずチェックしましょう。職種名のみで仕事内容を判断してしまうと、想定していた仕事内容と異なる可能性があります。たとえば、職種名が「ITコンサルタント」の場合でも、システム導入の上流工程に関わるITコンサルタントもいれば、IT関連の課題を顧客から聞いて、課題解決をすすめるといったITコンサルタントもいます。
求人に記載されている仕事内容を確認して、具体的にどのような業務をおこなうのか、正確に把握しておくことが重要です。求人情報のみでは仕事内容のイメージがつかない場合は、面接の際に仕事内容の詳細を質問しましょう。
平均残業時間、残業代の支払い

平均残業時間は、求人情報に記載された職種の残業時間であるとは限りません。会社全体の平均値を求人情報に記載しているケースも多く、実際は特定の職種のみ残業時間が極端に長い可能性もあります。平均残業時間の数字は鵜呑みにせず、書類選考や面接のタイミングで、応募している職種の平均残業時間を確認するのがおすすめです。
残業代の支払いについて、求人情報に「みなし残業代」「固定残業代」「裁量労働制」の記載がないか確認してください。上記3つの制度は、いずれも「一定の残業を行ったと仮定して、残業代を定額で支払う」ものになります。
みなし残業代、固定残業代、裁量労働制で設定された残業時間が、法律上で許可されている残業時間の上限である「1か月で45時間、年間で360時間」に近い場合、残業が日ごろから多く発生する職場であると推測されます。
休日体系
休日体系の種類としては、「完全週休2日制」「週休2日制」「シフト制」などが挙げられます。「完全週休2日制」は、1週間のうち2日は必ず休める休日体系です。完全週休2日制の場合、一般的には土曜・日曜休みの企業が多いですが、接客業やサービス業など土日が出勤日になる企業の場合は、平日が休日になるケースもあります。
一方、週休2日制の場合は、「1か月の中で、最低1週は2日休める」休日体系です。1か月のうち、3週は週休が1日のみになる可能性があります。このため、1か月の休日数が少なくなるケースもあるので注意が必要です。
1週間で必ず2日休みたい場合は、完全週休2日制の休日体系になっているか、求人情報で必ず確認しましょう。
年間休日数
年間休日数のチェックも忘れずに行ってください。土日休みの場合でも、祝日や年末年始の休みがないと、年間休日数が少なくなります。
年間休日数の目安は「114日以上」です。この数値は、厚生労働省が公表している『平成31年就労条件総合調査』に記載された年間休日数の平均値です。年間休日数が「114日以上」あれば、平均よりは休日数が多いと考えてよいでしょう。
有給休暇
休日に加えて、有給休暇についても要確認です。有給休暇は、雇用された日から6か月後に、それまでの期間で8割以上出勤している社員に対して、10日間付与することが法律で義務付けられています。
もし求人情報に「有給休暇は雇用されてから1年後に取得可能」といった記載がある場合、有給休暇の取得に関して違法な運用を行っている可能性があります。
また、有給休暇が「付与」されているだけで、実際は有給を「取得」できていないケースも少なくありません。求人情報に有給取得率が掲載されている場合は、取得率が100%に近い数値になっているか確認してください。
求人情報に有給取得率が掲載されていない際は、面接のタイミングで有給取得率を確認しておきましょう。
応募条件

求人情報には、求人に応募できる条件も詳細に記載されています。必要な経験やスキル、資格、年齢などを確認して、自身が応募条件を満たしているか要確認です。
応募条件は、「MUST」条件と「WANT」条件の二つに分かれています。「MUST」条件は、応募に際して必須となる条件になります。求人票では「必須条件」と記載されることが多いです。
「WANT条件」は、応募時に必須となる条件ではないものの、条件を満たしていると選考で有利に働く条件になります。「歓迎するスキル・経験」「歓迎する方」などと記載されることが多いです。
また、求人によっては「未経験歓迎」「未経験応募可」といった表記のある求人もあります。ただ、注意してほしいのが「何の未経験を指しているか」という点です。「未経験」という書き方でも、「業界未経験」を指している場合もあれば、「職種未経験」を意味していることもあります。求人情報の詳細を見て、未経験が指している内容を応募前に確認しておきましょう。詳細な記載がない場合は、企業に問い合わせて確認するのがおすすめです。
試用期間
試用期間とは、入社してから実際に職場で試験的に働く期間を指します。試用期間を通して、実際の仕事ぶりや勤務態度を確認した上で、試用期間の経過後に本採用を行うかどうか企業側が判断します。試用期間後、企業側が本採用を取り消すことも可能です。このため、試用期間を設けている求人の場合は、採用されたとしても試用期間の経過後に解雇される可能性がある点、留意しておく必要があります。
また、試用期間と本採用後で、待遇が異なることもあるので要注意です。試用期間の方が給与が低かったり、正社員ではなく契約社員としての雇用であったりなど、待遇面の違いがあるかどうかも必ずチェックしましょう。
交通費
交通費の支給についても要確認です。交通費の支給に関しては、法律で定められていないため、企業側の裁量で設定されます。交通費が支給されない可能性もゼロではないので、注意しなければなりません。
また、交通費が支給される場合でも、支給される交通費の上限金額が決まっているケースもあります。たとえば、「月額2万円まで支給」「半径20kmまでの範囲で支給」などの条件がついている可能性があります。
交通費が支給されない場合、また支給される金額で交通費をまかなえない場合、月の手取り金額が実質的に低くなるでしょう。交通費をまったく支給しない企業への入社は、控えたほうが無難といえます。
求人情報からブラック企業であるか判断するポイント

求人情報に記載されている項目をもとにして、募集元がブラック企業であるか判断するポイントとして、以下の点が挙げられます。
- 給与金額が極端に高い
- 一般的にない独自の福利厚生がある
- 固定残業、みなし残業時間が多い
給与金額が極端に高い
給与金額が相場よりも極端に高い求人は、ブラック企業の求人である可能性が高いです。ビジネスはボランティアとは異なり、仕事内容に見合った給与金額が設定されます。このため、給与金額が相場よりも極端に高い場合、残業は休日出勤を含めた金額であるケースがあります。
また、営業職や販売職の求人では、歩合分の金額が給与に上乗せされていることも少なくありません。
給与金額を高額に見せて応募者を増やす策は、ブラック企業がよく利用する手段です。求人表に記載された給与金額が極端に高い場合は、その金額の内訳を必ず確認した方がよいでしょう。
一般的でない独自の福利厚生がある
一般的でない独自の福利厚生がある求人にも注意が必要です。福利厚生は本来、社員の健康や幸福増進のために設けられるものですが、ブラック企業は福利厚生を逆手にとって、社員を拘束することが多いです。
たとえば、会社から徒歩圏内に住んでいる従業員に対して住宅補助を出したり、休日の社内イベントへすべて参加した従業員に追加のボーナスを出すなど、従業員を会社に拘束させて辞めにくくさせる施策が多く見られます。
福利厚生が充実することは良いことではありますが、従業員を拘束する意図が見える福利厚生がある場合は、ブラック企業である可能性を疑った方が無難です。
固定残業、みなし残業時間が多い
固定残業、みなし残業時間が多い場合、ブラック企業である可能性が非常に高いです。固定残業、みなし残業は「残業したとみなして、残業代を支払う」制度になりますが、固定残業時間、みなし残業時間が30時間以上で設定されている場合、毎日1.5時間は残業が発生する職場であると考えた方が無難です。
また、固定残業・みなし残業時間を含めて、給与金額が相場平均に近い場合は、「残業をしてようやく平均と同じ給与になる」可能性が高いです。設定された固定残業時間・みなし残業時間を超えないと残業代が支給されないため、実質的に残業代で稼ぐことができないと考えてください。
まとめ

求人情報には、募集している職種情報や企業情報など様々な項目が掲載されていますが、転職活動で失敗したくない方は、今回解説した項目のチェックは必ずおこなってください。特にブラック企業に入社したくない場合は、求人情報の詳細な確認は必須です。今回解説した項目をチェックしてもらうだけでも、ブラック企業への入社を防ぎやすくなります。
求人情報に該当の項目について詳細な記載がない場合は、企業の人事部や採用担当者に連絡して、詳細を確認しましょう。詳細について明確に教えてくれない企業の場合は、ブラック企業である可能性が高くなってくるので、応募する企業の選別にも繋げられます。
本記事で解説した求人情報の見方を参考にしていただき、転職活動に活かしていただけますと幸いです。
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