自己分析は就職活動や転職、キャリアプランニングにおいて重要です。
自己分析をすることで、自分の強みや価値観を明確化し、適職探しや正しいキャリアプランを描けるでしょう。
本記事では、転職を考えている社会人に向けて自己分析のタイミング、自己分析の方法や活用法を詳しく解説します。
自分に合った企業や職種選びをするために、正しく自己分析を行うようにしましょう。
目次
自己分析とは
自己分析とは、自分自身の特性や価値観、経験を深く理解し、今後のキャリアや生活に活かすための作業です。
自分がどのような人間なのか・何を大切にしているのか・どんな環境で能力を発揮しやすいのかなどを明確にできます。
会社に入ってチームとして成果を上げたい人もいれば、個人でクリエイティブな仕事をしたい人もいるでしょう。
正しく自己分析ができれば、自分にあった職種や生活を選択する手掛かりになります。
自己分析の目的
自己分析の主な目的は、自分自身を深く理解し、適切な選択を行うための基盤を作ることです。
キャリア選択においては、自分の強みや価値観を理解することで、どのような職種や企業が自分に向いているのかを判断する助けになります。
また、プライベートにおいて自分が何に情熱を持ち、どのような生活を送りたいかを考えるきっかけになるでしょう。
自己分析を通して自分を理解することは、自分らしく働き、自分らしく生活するうえで重要です。
自己分析を行うメリット
一番のメリットは、これからの選択や自分の価値観が明確になり、将来の不安を軽減できることです。
また、自己理解が深まることで自分を適切にアピールしたり、仕事やプライベートで得意なことを活かしたりできます。
就職活動においては、自己PRや志望動機を効果的に伝えることができ、書類審査や面接での説得力が増します。
自分の強みや弱みを把握できるため、キャリアアップに役立つでしょう。
いつ自己分析を行うべきか
社会人に向けて、転職前と転職活動中の自己分析について解説します。
転職前
次のキャリア形成に向けた準備として、転職前に自己分析することをおすすめします。
転職前に自己分析をすることで、これまでの職歴や経験から何を学んだのかを整理し、それを次の職場で活かす方法を考えられます。
また、新しい分野に挑戦する際には、自分の強みや改善点を把握することで、どのように新しい分野に適応するかが見えてくるでしょう。
転職前に自己分析をして、キャリアアップに役立てましょう。
転職活動中
自分にあった職種や職場を探すために、転職活動中の自己分析は重要です。
求人情報を見ながらどの企業が自分に適しているのかを判断するためには、自分の価値観やキャリアビジョンを明確にしておく必要があります。
自己分析によって、企業が求める人物像と自分を比較し、応募する企業を選ぶ際の指針として役に立つでしょう。
また、書類審査や面接時に自信を持って自分の強みや成功体験を伝えることができるようになります。
自己分析を効果的に行うためのポイント
自己分析を効果的に行うためには、4つのポイントを押さえる必要があります。
客観性を持つ
自己分析の際は、客観性を持つことが大切です。
自己分析は、ただ自己肯定をするための方法ではなく、自分を正確に理解するための手段です。
スポーツの試合で自分のプレーをビデオで見直すように、第三者の視点で自分を冷静に振り返る必要があります。
客観的な視点をもつことで、より正確な自己理解が可能です。
先入観に捉われない
自己分析を行う際には、先入観に捉われないことも重要です。
「自分は人前で話すのが苦手だ」という思い込みがあると、それに固執するあまり新たな可能性に気づけないことがあります。
過去の経験や他人からの評価に依存せず、自分の感覚を信じて新たな視点を得るようにしましょう。
定期的に見直す
自己分析は、定期的に見直すようにしましょう。人の価値観や能力は時間とともに変化します。
定期的に自己分析を行い、新たな状況や経験に応じて自分の理解を更新することが必要です。
新しい職場に移った後や新しい役割を担った時に見直すことで、現状に即した自己理解が得られます。
企業ニーズに合わせすぎない
企業ニーズに合わせすぎないことを心がけましょう。
就職活動や進路選びでは、企業が求める人材に合わせた自己分析をしがちなので、自分の本来の姿を見失うことがあります。
自己分析はあくまで自分自身のためのものなので、他者の期待ではなく、自分が本当に持っている強みや価値観を大切にしましょう。
4つの自己分析方法
自己分析を効果的に行うために、4つの自己分析方法を紹介します。
自分にあったやり方で自己分析をするか、複数の方法を実施することで自分自身を深く理解できるでしょう。
1. 自分史の作成
自分史の作成は、過去の経験を振り返り、自分の成長や変化を理解するための方法です。
過去の経験を時系列で振り返る
自分の過去の出来事を時系列で振り返りましょう。
幼少期から現在までの印象深かったエピソードや頑張ったこと、得意・不得意を年表のように整理します。
| 年代 /項目 | エピソード | 頑張ったこと | 得意だったこと | 苦手だったこと |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | ・4年生で学級委員長を務める ・6年生で野球部キャプテンに選出 ・理科の自由研究で市の賞を受賞 | ・野球部での練習 ・委員会活動での提案 ・朝の本読み課題 | ・理科の実験 ・人前での発表 ・チームスポーツ | ・図画工作 ・漢字の暗記 ・急な予定変更 |
| 中学校 | ・科学部で県大会に出場 ・文化祭実行委員を担当 ・部活と勉強の両立に挑戦 | ・定期テスト対策 ・部活動 ・生徒会活動 | ・実験レポート作成 ・資料整理 ・班活動の調整 | ・英語の発音 ・長距離走 ・一人の作業 |
| 大学/短大/専門 | ・サークル代表として30人を統括 ・インターンで営業を経験 ・研究発表で学会賞受賞 | ・卒業研究 ・資格取得・アルバイト | ・グループワーク ・プレゼン資料作成 ・データ分析 | ・締切管理 ・優先順位付け ・早朝の活動 |
| 社会人 | ・新人研修で優秀賞を獲得 ・プロジェクトリーダーを担当 ・新人教育担当として後輩育成 | ・業務効率化の提案 ・チーム目標の達成 ・資格の取得 | ・プロジェクト管理 ・報告書作成 ・チーム調整 | ・急な指示対応 ・感情的な対立 ・残業管理 |
過去の出来事を整理することで、自分の短所や長所、その他の特徴が明確になります。
印象深いエピソードを掘り下げる
印象深いエピソードを掘り下げることは、自己理解を深め、キャリア選択に役立つでしょう。
自分の過去の経験やエピソードを振り返ることで、自分の価値観や強み、改善すべき点が浮かび上がります。
例えば、小学校時代にある野球部キャプテンの経験を振り返ったとして、練習メニューの変更に他のメンバーが戸惑っていたとします。
このエピソードを掘り下げることで、リーダーシップを発揮する際に他者の意見を反映することが重要であると学べるでしょう。
印象深いエピソードを掘り下げ、自分の心の動きや学びを振り返ることで、将来のキャリアや人間関係の構築において自分の特性を最大限に活用できます。
2. SWOT分析
SWOT分析は、自分自身を客観的に見つめ直し、強みや弱みを認識するための方法です。
強み・弱み・機会・脅威を分析する
SWOT分析は、以下の4つのカテゴリーに自分を当てはめて考えます。
「強み（Strength）」とはアドバンテージになる点です。
例：コミュニケーション能力が高い、問題解決能力に優れるなど
「弱み（Weakness）」は自分が改善したい点や弱みとなる点です。
例：人前が苦手、プレゼンテーションが苦手など
「機会（Opportunity）」は自分の特性を活かす状況や環境です。
例：新しいプロジェクトの参加など
「脅威（Threat）」は外部環境からの自己の成長を妨げる要因です。
例：技術の進化に伴い求められるスキルが変化しているなど
さらに各項目のクロス分析を行うことで、より自分の特徴を理解できます。
・強み×機会：強みを活かして、どんなチャンスをつかめるか
・強み×脅威：強みを活かして脅威をどう克服するか
・弱み×機会：機会を活かして弱みをどう補うか
・弱み×脅威：最も警戒すべき組み合わせとして対策を立てる
SWOT分析を行い、自分の強みや弱み、機会や脅威を正しく認識することが重要です。
自分の特性を客観的に整理する
自分の特性を整理することで、自分の性格や特徴を客観的に理解することが可能です。
例えば、自分の強みを生かしてどのようにキャリアを伸ばしていくのか、弱みを補っていかに成長していくのかを考えられます。
SWOT分析を活用することで、自分に最適な転職戦略を立てられるでしょう。
3. ジョハリの窓
ジョハリの窓は、自己理解を深め、他者との関係性を改善するための手法です。
自分の認識と他者の認識を整理する
ジョハリの窓は、自分が知っている自分と、他者が知っている自分を整理します。
以下の4つのエリアに分けられます。
・開放の窓：自分も他者も知っている要素
・盲点の窓：他者が知っているが自分が気づいていない要素
・隠蔽の窓：自分が知っているが他者には見せていない要素
・未知の窓：自分も他者も気付いていない潜在的な要素
開放の窓は、自分自身も知っており、他者からも見える部分です。これは意識的にコミュニケーションできる領域であり、性格や趣味、価値観など、普段から表現している自分の特徴が含まれます。
盲点の窓は、自分では気づいていませんが、他者からは見える部分です。例えば、話し方の癖や態度、他人への影響力など、自分では認識していない行動パターンがここに含まれます。
秘密の窓は、自分では知っていますが、他者には見せていない部分です。個人的な経験、内面の感情、コンプレックスなどが該当します。
未知の窓は、自分も他者も気づいていない潜在的な可能性や特性の領域です。これは危機的状況や新しい経験を通じて、徐々に発見される可能性がある部分です。
周囲の意見も参考にしながら正しく4つのエリアを整理できれば、自己理解が深まります。
自己理解と他者理解のギャップを知る
ジョハリの窓を用いることで、自己認識と他者認識のギャップを知ることができます。
周りと意見交換をすることで「盲点の窓」を減らし、自分自身の成長につなげることが可能です。
また、周囲にフィードバッグを求めることで、新たに「未知の窓」を狭めるヒントを得られます。
自己理解を深め、より良い自己アピールに役立てることができるでしょう。
4. マインドマップ
マインドマップは、頭の中にある漠然とした考えを視覚的に整理できます。
自分の興味関心や目標を視覚的に整理する
マインドマップの作成は、その中心に自分の関心事や目標を置き、そこから枝葉を広げるように関連するテーマを書き出していく方法です。
例えば、「自己成長」というテーマを中心に据えると、その周囲に「転職」「自己理解」「マインドセット」といった項目が広がっていきます。
自分が何に興味をもち、どのような手段で目標を達成できるのかが一目でわかるようになります。
自分の方向性を明確化する
マインドマップは、頭の中の考えを整理するため、将来の方向性を考えるのに役立ちます。
視覚的に複数の選択肢を示すことでどの道を選ぶべきか考えられ、新たなアイデアを思いつく可能性もでてきます。
自分のキャリアパスを考える際に、どの業界や職種に進むべきかをマインドマップで可視化することで明確なイメージを持てるでしょう。
自己分析の活用法
自己分析の結果は、就職活動やキャリア形成において発揮されます。
1. 就職活動での活用
自己分析は就職活動において、志望動機や自己PRを構築するための土台となるでしょう。
志望動機や自己PRの作成に役立てる
自己分析を通じて得られた自分の強みや価値観をもとに、志望動機や自己PRを作成できます。
自分の強みが「問題解決能力」である場合、そのエピソードを交えた自己PRが効果的です。
また、企業文化やビジョンが自分の価値観と一致していると感じたら、それを志望動機に織り込むことで説得力が増します。
自己分析で自分を理解したのち、就職活動や転職活動に役立てましょう。
面接対策に活用する
面接時には、自己分析を活かして具体的かつ自信を持った発言ができます。
具体的な成功経験や学んだことをひも解きながら話すことで、面接官に対して自分の魅力を効果的に伝えられるでしょう。
自分を理解していれば、面接官からの予期せぬ質問にも柔軟に答えられます。
2. 仕事選びへの活用
自己分析は、理想の仕事を選ぶ際に欠かせません。
自分自身を深く知ることで、企業や職種選びに役立ち、就職の成功率を向上させます。
自分に合った企業や職種を見つける
自己分析を行うことで、自分の価値観や働き方の好みを明確にできます。
自分がチームワークを重視するタイプであるならば、協力性を重んじる会社を選ぶのが良いでしょう。
また、自己分析で得た情報をもとに、自分に合った企業や職種を見つけることができます。
強みを発揮できる仕事を見つける
自己分析では、自分の強みを把握することが重要です。
強みを把握することで、自分の能力を最大限に活かせる仕事を見つけられます。
たとえば、コミュニケーション能力が自分の強みであるなら、それを活かせる接客業や営業職を選ぶことが効果的です。
まとめ
自己分析は自分自身を理解し、転職やキャリアの方向性を考える上で非常に重要です。
自分史の作成・SWOT分析・ジョハリの窓・マインドマップなどを活用して、正しく自己分析していきましょう。
効果的に自己分析を行うためには、客観性を持ち、先入観に捉われず、定期的に見直し、外部のニーズに左右されないことです。
自己分析を通じて得られた知見は、一歩先の自分に導いてくれることでしょう。
