「キャリアプランが思いつかない」と悩む20代は少なくないでしょう。しかし、20代は今後のキャリアを決める最も重要な時期です。
この記事では、キャリアプランが思いつかない原因から具体的な立て方、職種別の例文まで徹底解説します。今後のキャリアプランや転職の参考になれば幸いです。
目次
20代の55%はキャリアプランがない!それでも考えるべき理由

多くの20代がキャリアプランを持たずに働いている現状があります。エン・ジャパン株式会社の調査によると20代の55%がキャリアプランを「特に考えていない」と回答しています。
しかし、20代のうちにキャリアプランを考えることは重要です。ここでは3つの理由を解説します。
理由①20代はキャリアの方向性を決める重要な時期だから
20代は社会人としての基盤を築く時期です。この時期にどんな経験を積み、どんなスキルを身につけるかで、30代以降のキャリアが大きく変わります。
早めに方向性を決めることで、必要なスキルに集中でき、効率的にキャリアを積めます。短い期間でも自分の適性や方向性を見極める意味があります。
理由②キャリアチェンジの選択肢が最も広い時期だから
20代はポテンシャル採用の対象になりやすく、未経験の業種や職種への転職が可能です。企業側も「若さ」や「成長可能性」を評価してくれます。
一方、30代以降になると、即戦力としての実績やスキルが求められます。未経験分野への挑戦は難しくなり、キャリアチェンジのハードルが一気に上がります。
理由③30代以降のキャリアの土台を作る期間だから
20代で身につけたスキルや経験は、30代以降のキャリアの土台になります。専門性の構築には時間がかかるため、早い段階から計画的に取り組むことが重要です。
20代でどんな経験を積むかが、将来の年収や役職、働き方の選択肢を決めると言っても過言ではありません。市場価値の高い人材になるため、戦略的なキャリア形成を行いましょう。
20代がキャリアプランを思いつかない5つの原因

キャリアプランが思いつかないのには理由があります。自分がどのパターンに当てはまるかを知ることで、対処法が見えてきます。
ここでは、20代がキャリアプランを思いつかない代表的な5つの原因を解説します。
原因①本当にやりたいことが見つからない
社会人経験が浅いと、限られた職種や業界しか知らないため、選択肢が狭い状態で「やりたいこと」を探そうとしても見つからないのは当然です。
また、自己理解が不十分なケースも多く見られます。スキルややりがいが分からないまま、漠然と将来を考えても具体的なプランは描けません。
原因②キャリアプランを考える環境やきっかけがない
日々の業務に追われ、将来について考える時間が取れない人も多いでしょう。目の前のタスクをこなすだけで精一杯で、キャリアについて立ち止まって考える余裕がありません。
また、周囲に相談しづらい環境や、キャリアについて話し合う文化がない職場では、キャリアプランを考えるきっかけ自体が得られないでしょう。
原因③キャリアプランを難しく捉えすぎている
「完璧なキャリアプランを立てなければ」と気負いすぎてしまい、壮大なビジョンを描こうとして、かえって身動きが取れなくなるパターンもあるでしょう。
キャリアプランは最初から完璧である必要はありません。むしろ、環境の変化に応じて柔軟に修正していくものです。ハードルを上げすぎず、まずは小さく始めることが大切です。
原因④選択肢が多すぎて迷ってしまう
20代は可能性が無限にあるからこそ、選択肢が多すぎて決められないという悩みがあります。転職サイトを見ても無数の求人があり、何を基準に選べばいいか分かりません。
情報過多の時代だからこそ、自分なりの判断基準を持つことが重要です。「年収」「働き方」「スキルアップ」など、何を優先するかを明確にすることで、選択肢を絞り込めます。
原因⑤時間的・精神的な余裕がない
長時間労働や厳しい職場環境で、プライベートの時間すら十分に取れない人もいます。疲れて帰宅し、休日も回復に充てるだけで精一杯では、将来について考えるエネルギーが残りません。
心身ともに余裕がない状態では、前向きなキャリアプランは描けないでしょう。
【5つの方法】20代向けキャリアプランの具体的な立て方

キャリアプランは難しく考える必要はありません。以下の5つの方法を順番に実践することで、自分なりのキャリアプランが見えてきます。
キャリアプランの具体的な立て方
- 方法①自己分析を徹底的に行う
- 方法②ロールモデルとなる人を見つける
- 方法③業界や職種の情報を幅広く収集する
- 方法④小さな目標から設定してみる
- 方法⑤第三者に相談する
それぞれの方法を具体的に見ていきましょう。
方法①自己分析を徹底的に行う
キャリアプランの土台となるのが自己分析です。これまでの経験を振り返り、自分の強みや弱み、価値観を整理しましょう。
will(やりたいこと)、can(できること)、must(やるべきこと)のフレームワークを使って整理すると、より明確になります。
客観的に自分を理解するために、診断ツールを活用することもおすすめです。
方法②ロールモデルとなる人を見つける
具体的なイメージを持つために、ロールモデルを見つけることが重要です。モデルがあれば、キャリアプランが描きやすくなります。
ただし、一人のロールモデルを完全にコピーする必要はありません。複数の人から良い部分を取り入れ、自分なりのキャリアを組み立てましょう。
方法③業界や職種の情報を幅広く収集する
視野を広げるために、様々な業界や職種の情報を集めましょう。転職サイトを見るだけでも発見があるでしょう。
業界研究や職種研究を行い、それぞれの特徴や将来性を理解しましょう。情報収集する際は、メリットだけでなくデメリットも含めて調べることが大切です。
知らなかった選択肢に出会うことで、新たな可能性が開けるかもしれません。
方法④小さな目標から設定してみる
いきなり10年後の姿を描くのは難しいものです。まずは1年後の目標から考えてみましょう。
1年後の目標が見えたら、次は3年後、5年後と段階的に広げていきます。小さな目標を積み重ねることで、自然と長期的なキャリアプランが形成されます。
重要なのは、完璧を求めないことです。行動しながら修正していく姿勢が大切で、計画通りにいかなくても軌道修正すればいいと考えましょう。
方法⑤第三者に相談する
一人で考えていると視野が狭くなりがちです。転職エージェントやキャリアコーチなど、第三者に相談することで客観的な視点が得られます。
また、話すことで頭の中が整理され、漠然としていた考えが明確になることもあります。
プロに相談すれば、市場動向や業界情報など、個人では得られない情報も手に入るでしょう。無料で利用できる転職エージェントもあるので、積極的に活用しましょう。
20代のキャリアプランを考える際の4つのポイント

キャリアプランを立てる際には、いくつか押さえておくべきポイントがあります。以下のポイントを意識することで、実現可能性の高いプランが作れます。
キャリアプランを考えるポイント
- 将来の理想像をできるだけ具体的にイメージする
- 実現可能性を意識した現実的な計画にする
- ライフプランとあわせて考える
- 定期的に見直して柔軟に修正する
4つの重要なポイントを見ていきましょう。
ポイント①将来の理想像をできるだけ具体的にイメージする
抽象的な目標では行動に移せません。5W1H(誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように)を意識して具体化しましょう。
どんな仕事をしているか、どんな働き方をしているか、年収や役職まで含めてイメージします。
具体的であればあるほど、そこに至るまでの道筋が見えやすくなります。
ポイント②実現可能性を意識した現実的な計画にする
高すぎる目標は挫折の原因になります。現在のスキルレベルをふまえて、段階的な目標設定を心がけましょう。
一つひとつの目標をクリアすることで、モチベーションを維持しながら着実にキャリアを築けます。
ただし、現実的すぎて挑戦がない目標も避けるべきです。少し挑戦が必要なレベルが、成長にはちょうどいいでしょう。
ポイント③ライフプランとあわせて考える
キャリアは人生の一部です。結婚、出産、育児、介護など、ライフイベントも考慮に入れましょう。
特に20代後半以降は、プライベートの変化が大きい時期です。ワークライフバランスをどう保つか、家族との時間をどう確保するかも重要な要素になります。
仕事だけでなく、人生全体で考えることで、長期的に持続可能なキャリアプランになります。
ポイント④定期的に見直して柔軟に修正する
キャリアプランは一度作ったら終わりではありません。環境は常に変化するため、定期的な見直しが必要です。
年に1回、半年に1回など、自分なりのサイクルで振り返りの時間を設けましょう。チェックを行い、計画通りにいかなくても、それは失敗ではなく軌道修正のチャンスです。
固定観念にとらわれず、状況に応じて柔軟に対応する姿勢が、長期的なキャリア形成には欠かせません。
20代前半と20代後半で異なるキャリアプランの考え方

これから、年代別の考え方のポイントを解説します。
一口に20代と言っても、前半と後半では置かれている状況が大きく異なります。それぞれの特徴を理解し、自分の年代に合ったキャリアプランを立てましょう。
20代前半(22〜25歳)のキャリアプランの特徴
20代前半は、社会人としての基礎を固める時期です。ビジネスマナーやコミュニケーション、基本的なスキルを身につけることが優先されます。
この時期は幅広い経験を積むことが重要です。失敗しても取り返しがきく年代なので、思い切って様々な業務に挑戦してみましょう。
焦って専門性を絞り込むよりも、多くの選択肢を試して、自分の適性や興味を見極めることに時間を使いましょう。
20代後半(26〜29歳)のキャリアプランの特徴
20代後半になると、専門性の構築が求められます。ある程度の経験を積んだ上で、自分の強みを明確にし、その分野を深掘りしていく時期です。
キャリアの方向性を定め、具体的なアクションを起こす段階に入ります。転職を考えるなら、この時期が最後のチャンスと言えるでしょう。マネジメント経験を積み始める人も出てきます。
30代を見据えた計画が必要になる年代です。30歳時点の目標から逆算して、今何をすべきかを考えましょう。
20代がキャリア相談すべき相談先5選

一人で悩んでいても解決しないことがあります。適切な相談先を知り、積極的に活用することがキャリア形成の近道です。
それぞれの相談先の特徴とメリットを紹介します。
①転職エージェント(無料・おすすめ)
転職エージェントは、キャリア相談の第一候補です。転職を前提としなくても、キャリアの方向性について相談できます。
第三者の視点でアドバイスがもらえるのが最大のメリットです。転職市場の最新情報や業界動向も教えてもらえます。
多くのエージェントは無料で利用できるため、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。自分の市場価値を客観的に知ることで、今後の戦略が立てやすくなります。
②キャリアコーチング(有料)
キャリアコーチングは、転職だけでなく長期的なキャリア支援を受けられるサービスです。転職以外の選択肢も含めて、幅広く相談できます。
本質的な自己理解を深めることに重点を置いているのが特徴です。マンツーマンで丁寧なサポートが受けられるため、深い気づきが得られます。
費用はかかりますが、自分への投資と考えれば、その価値は十分にあるでしょう。
③ハローワーク(無料)
ハローワークでは、職業相談を無料で受けられます。全国各地に窓口があり、気軽に相談できるのがメリットです。
職業訓練の案内も受けられるため、新しいスキルを身につけたい人におすすめです。地域密着の求人情報も豊富にあります。
ただし、転職エージェントほど専門的なサポートは期待できない場合もあります。まずは情報収集の場として活用するのがいいでしょう。
④会社の上司や先輩
社内でキャリアを築きたい場合は、上司や先輩への相談がおすすめです。社内でのキャリアパス情報が得られ、具体的で実践的なアドバイスがもらえるでしょう。
ロールモデルとして参考にできる先輩がいれば、どんな経験を積むべきか、どんなスキルが必要かが分かります。
ただし、転職を考えている場合は相談しづらいかもしれません。社内でのキャリア形成に限定した相談先と考えましょう。
⑤キャリアカウンセラー
キャリアカウンセラーは、国家資格を持つ専門家です。専門的なカウンセリング手法を用いて、体系的な支援が受けられます。
客観的な視点でアドバイスをもらえるため、自分では気づかない視点が得られます。転職に限らず、働き方全般について相談できるのが特徴です。
有料のケースが多いですが、公的機関で無料のキャリアカウンセリングを実施している場合もあります。お住まいの地域の支援制度を調べてみましょう。
【職種別】20代のキャリアプラン例文8選

実際にキャリアプランを考える際の参考として、職種別の例文を紹介します。例文は現在の状況から将来の目標、取り組みまでを含めた構成にしています。
自分の職種に近いものを参考にしてみてください。
営業職のキャリアプラン例文
営業職は実績を積みながら、マネジメント力を身につけるキャリアプランが考えられます。
| 現在は法人営業として新規顧客開拓を担当しています。3年後には既存顧客との深耕営業を通じて信頼関係を構築し、顧客の課題解決に貢献できる営業担当者になりたいと考えています。将来的には営業部門のマネージャーとして組織全体の売上目標達成に貢献したいです。そのために現在は商談スキルの向上と業界知識の習得に注力しています。 |
事務職のキャリアプラン例文
事務職は経理や人事など特定分野のスペシャリストを目指すキャリアプランが考えられます。
| 現在は一般事務として書類作成やデータ入力を担当していますが、3年後には経理知識を身につけ経理事務としてスキルアップしたいと考えています。将来的には財務分析などにも携わり、経営判断に貢献できる管理部門のスペシャリストを目指します。簿記2級取得に向け現在は通信講座で簿記の勉強を進めています。 |
エンジニア職のキャリアプラン例文
エンジニアは技術の幅を広げた後、テックリードやマネージャーへの道があります。
| 現在はWebアプリケーション開発を担当するエンジニアです。3年後にはフロントエンドとバックエンド両方のスキルを習得したフルスタックエンジニアになりたいと考えています。将来的にはCTOとして組織の技術戦略を牽引する立場を目指します。現在はバックエンド開発の学習を進めており、個人プロジェクトやOSS活動を通じて実践的なスキル向上に取り組んでいます。 |
マーケティング職のキャリアプラン例文
マーケティング職はデータ分析力を磨き、戦略立案ができる人材へと成長するキャリアプランが多いでしょう。
| 現在はWebマーケティングを担当し、SNS運用やコンテンツ制作を行っています。3年後にはデータ分析スキルを磨き、効果測定から施策改善まで一気通貫で担当できるマーケターになりたいです。将来的にはマーケティング部門の責任者としてブランド構築に貢献したいと考えています。現在はGoogle Analyticsの学習とマーケティング関連書籍の読書を習慣にしています。 |
企画職のキャリアプラン例文
企画職は商品開発のプロフェッショナルやマネジメントを目指すキャリアプランが挙げられます。
| 現在は商品企画のアシスタントとして市場調査やデータ分析をサポートしています。3年後には新商品の企画から立ち上げまでを一人で担当できる企画担当者になりたいと考えています。将来的には事業部全体の商品戦略を描けるプロデューサーを目指します。現在は市場調査の手法やマーケティング理論を学んでいます。 |
販売職のキャリアプラン例文
販売職は接客スキルを磨いた後、店長として店舗運営を学び、エリアマネージャーや本部機能へとキャリアを広げられるでしょう。
| 現在はアパレル販売員として接客と店舗運営を担当しています。3年後には店長として店舗全体のマネジメントを行い、売上目標達成とスタッフ育成に取り組みたいと考えています。将来的にはバイヤーや商品企画など本部機能に携わりたいです。現在は販売スキルの向上に加え、数値管理やマネジメントについても学んでいます。 |
経理職のキャリアプラン例文
経理職は資格取得と実務経験を積み重ね、財務部門の中核を担う専門家を目指す選択肢があります。
| 現在は経理アシスタントとして伝票処理や月次決算のサポートを担当しています。3年後には単独で月次決算を担当できるようになり、簿記1級の取得を目指しています。将来的には財務部門のマネージャーとして経営層への財務レポート作成や資金調達にも関与したいと考えています。現在は簿記2級を取得済みで、1級の勉強を進めています。 |
人事職のキャリアプラン例文
人事職は人事のスペシャリストやゼネラリスト、組織の管理部門といったキャリアプランが考えられます。
| 現在は人事部で新卒採用の業務をサポートしています。3年後には採用計画の立案から実行まで一人で担当できる採用担当者になりたいと考えています。将来的には人事部門の責任者として組織開発や人事戦略の立案に関わり、会社全体の人材力向上に貢献したいと考えています。現在は人事関連の書籍を読み、面接官トレーニングにも参加しています。 |
まとめ|20代のうちにキャリアプランを立てて理想の未来を実現しよう
20代はキャリア形成において最も重要な時期です。20代のうちに動き出すことで、30代以降の選択肢が大きく広がります。
キャリアプランが思いつかないと悩む必要はありません。一人で悩まず、転職エージェントやキャリアコーチなど、第三者に相談することも有効です。客観的な視点を得ることで、自分では気づかなかった可能性が見つかるかもしれません。
まずは1年後の目標から考え、行動しながら修正していく姿勢が大切です。今日から一歩踏み出し、理想の未来に向けて進んでいきましょう。


キャリアアドバイザー、リクルーティングアドバイザー、社内人事などを経て、現在は転職メディア「転テン」の運営を担当。転職に悩む方の力になるべく、リアルな現場経験を活かしたノウハウを発信中。あなたの「キャリアづくり」を応援します。
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